キング・オブ・エジプト -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>キング・オブ・エジプト

執筆日:2018年2月9日

あらすじ・ネタバレ

ニコライ・コスター=ワルドー主演の2016年映画「キング・オブ・エジプト」のあらすじとネタバレ。

神が人間の中に混ざり生きる古代エジプトの世界。神は人間と姿自体は同じだが人間より巨体で、血ではなく黄金が体内に流れており、また人から別の姿へと変化することもできた。

人々は神々を崇めていたが、青年ベックは神に対する信仰心は持っていなかった。しかしベックの恋人のザヤは信心深かった。

古代エジプトはオシリスセトの兄弟がエジプトを収めていた。
オシリスは息子のホルスに王の座を譲ることにする。
戴冠式にセトもやって来てホルスを祝福するが、態度が急変し王座を渡せと言う。そしてオシリスを刺し殺してしまう。
ホルスは隼の姿に、セトはジャッカルの姿になって戦う。しかしホルスはついには敗北し、なんでも見通せるというその目を奪われてしまう。

セトが王になり、立ち向かう神々は全て死に、人間たちは奴隷になった。死後の世界に必要なのは黄金だとし、世は荒んだ。両眼を失ったホルスはどこかに消えてしまった。

ベックは建築士ウルシュの奴隷となったザヤを見つけ出した。ウルシュのいない間に二人は逢引していた。
ザヤは「セトを倒せるのはホルスだけだ」とベックに言う。ウルシュが持つ宝物庫の図面もベックに渡した。

ベックは宝物庫に忍び込み、罠だらけの宝物庫を進むのだった。罠にかかれば即、死につながるようなものばかりだったが、高い身体能力を駆使して突破し、青く光り輝くホルスの目を盗み出す。しかし目は片方しかなかった。

目を一つ盗んでザヤのところに戻るが、ウルシュに見つかってしまう。
ホルスの目をかざして光を放ち、隙をついて逃げたがザラがウルシュの放った矢で死んでしまうのだった。この世界では人が死ぬと黄泉の世界へと行き、そこで王が決めた法則にしたがい、消滅するのか、来世に生れ変わるのか決められる。ザヤ「死は終わりじゃない」と言って息絶えた。ベックはザヤを生き返らせることを誓った。

ホルスが隠れ住んでいる神殿にやってきたベック。ホルスは両目を失い地位を失いやさぐれていたが、ベックが持ってきたのが自身の目と知ると「渡せ」と言ってベックにかかっていく。しかしベックはホルスに交渉を持ち掛けた。「目を渡す代わりにザヤを生き返らせろ」というものだ。
ホルスはザヤの遺体を見るが、もう手遅れだとして、死の使いであるアヌビスを呼び出す。ザヤは死の世界に連れていかれた。

ベックはもう1つの目を盗んでほしくばザヤを救えと要求。「ザヤが死の世界で9つの門をくぐる前にホルスがセトを倒して王の座を取り戻せば、王の力によりそれは可能だ」とホルスは説明する。こうしてベックとホルスは手を組んだ。一方セトも宝物庫からホルスの片目が盗まれたことを知った。

ホルスはベックに「砂漠の神であるセトを殺すには砂漠を殺す必要がある」と説明する。2人はホルスの祖父の太陽神ラーの所へ行った。 天空にあるラーの船に辿り着く。ラーはこの世界の創造主で絶大な力を持つが、アポピスという邪悪な神と夜な夜な戦う使命がある。ホルスはラーの船にある泉からセトの力の源である砂漠の炎を消すため命の水を汲んだ。

セトは反乱軍を追い詰め殲滅しようとしていた。軍はかつてのセトの妻の女神ネフティスが率いていた。しかしセトはネフティスにも慈悲は見せず、翼を抜いて殺してしまう。

セトの部下がベックとホルスを見つけて襲い掛かる。片目のないホルスは弱体化していて変身はできないがそれでも強く、刺客を全て倒した。滝から落ちてホルスもベックも死にかけるが、ホルスが持つ槍を使ってなんとか窮地をしのいだ。

セトは死の世界をも支配したいと言う。かつてホルスの妻だったハトホルはセトのものになっていた。妻のふりをしているが自分を騙していると見抜いたセトはハトホルに襲い掛かるが瞬間移動能力を持っているハトホルは逃げ出した。

ホルスとベックには巨大な白と黒の蛇の二匹の蛇に乗った追っ手が刺客として現れる。
二人が協力して白い蛇を倒したところでハトホルが現れる。ホトハルの力により黒の蛇は自滅してしまった。

セトの力の源となっている炎はピラミッドにある。ここに忍び込む作戦をハトホルにも話すが門番であるスフィンクスを突破する必要がある。ホルスはこの世の全ての知識を持つという神、トトを仲間にすることを考えた。
トトのところに来ると最初は渋ったが、プライドをくすぐると意地になって同行してくれた。こうして4人はピラミッドへ。

道中、ホトハルはホルスと会話。「王でも死人を生き返らせる力などない。ベックをだましたのね」と責めるのだった。 ハトホルはかつて死人を送る西方の神だった。その力を使ってザヤと会話をするベック。だがハトホルも真実は伝えず、未だベックはザヤは生き返るものだと信じている。

ついに4人はセトの炎が燃え盛るピラミッドに辿り着いた
。ピラミッドの周辺は砂嵐が吹き荒れていて、内部も罠満載。ピラミッドの構造はウルシュの家にあった構造図に記されていて、ベックはそれを見ている。3人を残し、ベックだけが飛び込み中へ。奥にある歯車を回すと砂嵐が消えた。
ピラミッド内部でスフィンクスがクイズを出す。トトは何度も間違えるがついには正解を答える。

だが、ピラミッド深部ではセトが待ち受けていた。罠にかかるホルスとハトホル。トトが知識の源である脳を抜かれてしまう。
ベックだけは囚われず、セトの力の源の炎に命の水をかけようとするが、セトはホルスは嘘をついていることをベックに教える。躊躇したベックをセトが取り押さえてしまった。

セトは去り、ホルス、ベック、ハトホルの3人は崩れていくピラミッドから脱出したが、ベックはホルスを嘘つきと軽蔑する。
ハトホルはアヌビスを呼び出して自分が犠牲になればザヤを救えると言う。ホルスは止めようとする。
ホトハルのは死に、ホトハルの黄金の腕輪だけが残った。ホルスはそれをベックに渡してザヤのために届けて来いと言った。ベックはアヌビスの力でザヤのいる黄泉の世界へと移動した。

セトはそれぞれの神から奪った力を全て手にしていた。あらゆる攻撃を防ぐというネフティスの翼、全てを知るというトトの脳、世界を治めるオシリスの心臓、そしてあらゆる計略を見抜くというホルスの目を全て一人で兼ね備えたのだった。

そしてセトは父親のラーの元を訪れた。なぜ自分だけ砂漠に追いやり、子供も持たせなかったのかと聞く。ラーは「自分と同じく子を持つ辛さを味合わせたくなかったのと、セトには自分の後を継いでほしいからだ」と答えた。ラーはセトにアポピスと戦う役目を継いでもらいたかったのだ。
セトはラーの役目は継ぐが、永遠の命を得るために黄泉の世界を破壊するつもりだと宣言する。セトとラーと戦いになった。セトはラーが放つ灼熱の炎をも耐えて、逆にラーを倒してしまった。そして黄泉の門を破壊してしまう。アポピスの力が黄泉の世界を破壊してしまおうとしていた。

ベックはザヤに黄金の腕輪を渡すところだったが、黄泉の世界にアポピスの力が及び、それどころではなくなった。ザヤはベックにホルスに力を借りてと言う。ベックは地上に戻りホルスの力を乞う。死んだネフティスが二人の元に現れて二人は素早く都へ戻ることができた。
ラーは死んではおらず、まだラーの力でアポピスは封印できるが、ラーの槍はセトの手にある。二人はウルシュの力を借りて塔に登っていった。

しかし塔のエレベーターで上昇中にウルシュがザヤを侮辱した。ベックとウルシュは戦いになり、ホルスも塔の頂上でセトと戦いに。
ベックはセトからホルスの右目を奪う。それをホルスに投げるが、ホルスはそれよりもベック救出を優先。塔から共に落下するが、途中で隼に変化できた。
自分の使命は復讐ではなくは民を守ることだと理解し、そのために片目でも変化できるようになったのだ。

ホルスとセトは変身して戦う。ついにはホルスが打ち勝ち、ラーのヤリを刺してトドメを刺す。
ホルスはラーにヤリを渡しに行き、ラーは復活してアポピスを撃退した。
ホルスは戦いが終わった後に右目を取り戻した。ホルスはベックにお前本当は神じゃないのか?と言う。実は致命傷を受けていたベックは力尽きてしまった。

ホルスはベックの亡骸をザヤの隣に収めた。そこにラーが現れる、借りを返すために何か望みを叶えてやるというラー。ホルスはベックとザヤの復活を望んだ。

セトに殺された神々は復活し、ようやく戴冠式が行われホルスが王となった。
ホルスは来世に必要なのは思いやりや慈悲を持って生きることだと宣言した。
ベックは人間でありながらホルスの側近の立場になっていた。ホルスにホトハルの黄金の腕輪を渡したベック。ホルスは「数日留守にするのでお前がエジプトを治めろ」とベックに言い残し、隼に変化し、ホトハルを迎えに飛び立ったのだった。

感想・評価

全編CGで構成された作品。これは製作費凄そうだと思ったが、1億5000万ドルらしい。タイタニックはちょうどこの倍、パイレーツオブカリビアンとなると倍以上らしいが、どちらにせよ平均的な映画よりは格段に高いことには変わらず、これだから日本映画は敵わんよなあしみじみ感じながら観賞していた。

そしてお金がかかってるだけあってめっちゃ面白いです。エジプト神話を元にした単純な英雄譚だが、ファンタジーな世界観に魅力的な人物。神であるホルスと人間のベックの友情、絆の物語としても実に王道で気持ちの良い物語。素晴らしいエンタメ作品。
エジプト神話ってのはキリスト教、イスラム教以前にエジプトの人々に親しまれたというものらしい。エジプトの神々には詳しくなくて、某カードゲームアニメや某悪魔合成RPGとかで名前を聞いたことがあるくらいなんだけど、それは関係なく楽しめる。なんとこの作品、無双系のゲームにもなっているらしい。

でもこの作品、名前で検索するとどうもどれも微妙なものばかり出てくる。「評判が悪い」「黒人差別だ」「古代エジプトなのにあり得ない建築だ」「興行成績は振るわなかった」とか。
黒人差別云々に関しては当人らが気になるならどうしようもないし仕方ないなと、黄色人種としては思うしかないが、それ以外に関しては「はて?」と思うしかなかった。だって面白いもの。すごく。舌に掲載の評価点では40点超えたので自分のサイトの評価としては「大傑作」です。

あ、一つ欠点があった。ザヤの吹き替え声優が酷い。棒読みで活舌悪くて、はっきり言えばゴミです。ファッションモデルらしいが、なんで映画吹き替えってこういう起用するのかね。アベンジャーズの米倉涼子くらいならまだ許容できるんだが…。

人物解説

ホルス

演:ニコライ・コスター=ワルドー
オシリスの息子。全てを見通す目を持つ。隼に変化できる。父のオシリスから王の座を受け継ぐ戴冠式の日、叔父であるセトに敗れて両目を奪われてしまった。失明してやさぐれていたが、ホルスの力を借りるため訪れたベックと行動を共にし、感化され、セトに勝利し、最後には正義の神として王となった。黄泉の国に奪われてしまったハトホルを助けるために隼になって飛び立つシーンがラストシーン。

ベック

演:ブレントン・スウェイツ
人間の青年。神に対して敬意が欠けているが、恋人のザヤに対する情熱は本物で、即死トラップや神を目の前にしても全くひるむことはなく生意気。ザヤを生き返らせてくれると嘘をついたホルスと共に行動。嘘を知った時にはホルスに失望するが、冥界で会ったザヤの言葉により再びホルスを信じることにし、セトの建てた塔へと向かった。そこでの戦いで命を落とすが、ホルスはラーに対してベックとザヤの復活を望んだためにザヤと共に再び生を受けた。

セト

演:ジェラルド・バトラー
オシリスの弟だが、オシリスとは違い不毛の砂漠の地を治めていた。ホルスの戴冠式に現れ、最初は友好を演じていたが兄を殺し、ホルスにも打ち勝ち、王の座についた。黄泉の国で来世に生れ変わるために必要なのは黄金だと決め、逆らう神は殺し、人間は奴隷にしてしまった。さらにホルスの妻のホトハルを妻にし、自分の力の象徴としてウルシュに設計させた高い塔を建設させた。アポピスと戦うというラーの使命を継ぐことを拒否して黄泉の世界を破壊し、永遠に生きようとするのが最終的な目的だったが、ホルスとベックの手により阻止された。ホルスに敗れた時、以前ホルスを殺さずに見逃したことを引き合いに出したが、ホルスは容赦なくセトを殺してしまう。

ハトホル

演:エロディ・ユン
ホルスの妻だが、セトが王になった後はセトの妻に。しかしセトに対しては演技をしていて、ホルスを愛する気持ちは変わらなかった。元々は死人を送るという役目を持っていた神なので黄泉の国にいくらか干渉することができる。瞬間移動も可能であるため、ハトホルの心の内を見破ったセトから離れることができた。その後はホルス&ベックと共に行動。「王ならばザヤを生き返らせることができる」というのはホルスの嘘だと知っていたため、それを償うために黄泉の国に身を捧げる。この時腕につけた黄金の腕輪だけはホルスの元に残った。ハトホルの犠牲によりベックは一時的に黄泉の国へと行くことができ、その黄金の腕輪によりザヤを救おうとしたが、アポピスが黄泉の国を破壊しようとしたためにうやむやになる。ホルスはセトに打ち勝った後にハトホルを黄泉から救い出すために旅立った。

ザヤ

演:コートニー・イートン
人間の女性。ベックの恋人。ベックとは違い神を敬い、特にホルスは偉大な神だと信じている。宝物庫からホルスの左目を奪ったベックと共に逃げる途中、ウルシュが放った矢で死んでしまう。ベックはザヤを復活させるためにホルスと交渉。「王ならばザヤを生き返らせることができる」とホルスは言ったが、これは嘘だった。ホルスに救われたラーが、ホルスに対する借りを返すために一つ願いを言えと言ったのでホルスはザヤ、そして戦いで死んでしまったベックの復活を望む。無事にベックとザヤは生き返ることができた。

ラー

演:ジェフリー・ラッシュ
オシリスとセトの父親。エジプト神話では万物の創造主。天空の船の上に住んでおり、暗黒の神のアポピスと毎夜戦って世界が崩壊するのを防いでいる。セトが「なぜオシリスには豊かな地を与え自分には砂漠を与えたのか、そして子を持つことも認めなかったのか」と聞くと自分と同じ苦しみはさせたくなかったからと答えたがセトは納得できずラーを攻撃。死にはしなかったがセトに敗れて気を失ってしまい、自分の槍も失う。ホルスがセトに打ち勝った後はこの槍をラーに返して復活した。そしてホルスの借りを返すためにベックとザヤを生き返らせた。

オシリス

演:ブライアン・ブラウン
ラーの息子でセトの兄。立場的には重要ポジションだが、この作品では早々にセトに殺されてしまい出番が少ない。セトとは違って肥沃なナイルの地を与えられていて、その座は息子のホルスに明け渡すはずだった。しかし戴冠式に現れたセトに殺されてしまう。

ウルシュ

演:ルーファス・シーウェル
人間の建築士。セトが王になった後、天に届かんばかりの塔の設計をした。宝物庫の設計もしていたのでホルスの目が奪われるとは思っていなかったようだが、ベックはそれを突破した。最後には塔の中でベックと戦い、突き落とされて落下死。黄金を持っているので来世に生れ変われると思っていたようだが、この時黄泉の国はアポピスの襲撃により非常事態だったので恐らくそのまま死んで消滅した。

トト

演:チャドウィック・ボーズマン
知識の神。ホルスの教師でもある。セトが王になった後は都を離れて自分と同じ顔をした使用人と共に生活していたが、ピラミッド内のスフィンクスを突破するためにホルスから勧誘された。最初は渋ったが結局はホルス、ベック、ハトホルと同行してピラミッドへ。スフィンクスの問いに自信満々に答えるが、「明日」という正答を出すまで3回ほども間違え、そのたびにスフィンクスの攻撃をホルスが受け止めて痛い目を見る。このシーンは今作最大の笑いどころ。

アヌビス

黄泉の国の道案内人。人ではなく犬の頭を持つ。死んだザヤの道案内をする。ハトホルが「自分の命の代わりにザヤを救ってほしい」という交渉に応じた。またラーがセトに敗れてアポピスが黄泉の国を破壊しようとしたところ、一時的に食い止めた。影のMVP。

項目別評価

映画「キング・オブ・エジプト」評価

なんか割と評判悪くて興行成績も振るわなかったらしいが、十二分に面白い娯楽大作。映画になんか深いものを求める人間向きではないと思うが。「娯楽」として見れる人なら十二分に楽しめるはず。

凡人の感想・ネタバレ映画>キング・オブ・エジプト