今日も僕は殺される -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>今日も僕は殺される

執筆日:2018年2月27日

簡単なあらすじ・ネタバレ

主人公のイアンは大学生でアイスホッケーの部活をやっている。しかしある試合で判断ミスをし負けてしまう。その時スコアボードの時計が止まっていたために判断ミスをしてしまったのだった。イアンはそれを恋人のジェニーに偶然にしてはおかしいと話す。その後、イアンは車で帰宅中にあやしい人物に襲われて死んでしまう。ふと気が付くと社会人としてオフィスで働いていた。今度のイアンはメディアという妻を持っていた。大学生だったのにいきなり社会人になったりしたことでイアンは不可解に思っていたところ、ある男がイアンに「お前は狙われている。ジェニーを大事にしろ」と忠告してくる。そして今度は妻のメディアに殺されてしまい、次に気が付くとタクシー運転手として働くイアンがいた。死ぬたびに時代が飛び自分の肩書も変わるのは何者かの仕業だとイアンは薄々気付き始める。実は忠告してくれた謎の男やメディアは「ハーヴェスター」と呼ばれる化け物で、人間の恐怖心を倉って生きる存在だった。イアンも同じくハーヴェスターだったが、人間のジェニーを愛したためにメディアたちを裏切ったのだった。イアンはメディアたちに捕らわれて拷問されたが、謎の男に「恐怖心ではなく愛でも強くなれる」と教えられ、イアンは愛するジェニーを守るために立ち上がった。メディアを倒す際にジェニーも犠牲にしてしまったが、再び世界は変わり、冒頭と同じく大学でアイスホッケーをしている状況に。今度はイアンは試合に勝ち、ジェニーとも喜び合う。そこにもハーヴェスターの手が忍び寄っていたが、イアンはハーヴェスターと人知れず対峙し、不敵な表情で「怖いのか?」と挑発した。

詳細なあらすじ・ネタバレ

主人公のイアンは普通の大学生でアイスホッケー部に所属している。ある試合でスコアボードの時間が止まってしまったために判断をミスしてしまい、試合に負けてしまう。このことを恋人のジェニーに話して不思議がるイアンだった。
雨の夜、イアンは車を運転中に道にうずくまっている妙な人物と遭遇する。その人物はイアンに襲い掛かり、イアンは死んでしまった。

しかしそれと同時に世界が切り替わり、イアンは社会人としてオフィスで働いていた。その会社ではイアンはしがないただのサラリーマンであり、ここではジェニーが同僚として存在していた。イアンは大学時代のことはオフィス内で悪夢を見ていたのだと思った。
イアンは会社の外で体調を崩して倒れた人間を見つけた。そしてそのすぐそばにはある男がいた。それはアイスホッケーの試合の審判と同じ顔をしていた。

社会人としてのイアンにはメディアという美しい妻がいた。メディアは良き妻であり、イアンとメディアは仲睦まじい夫婦だった。しかしイアンはかつてアイスホッケー部に所属していたことを話して写真を見るとイアンの姿はそこにはなかったため不可解に感じた。

イアンがバスに乗るとイアンに向かってあからさまに挑発的な態度をする男二人がいた。それを追いかけようとすると見知らぬ謎の男が話しかけてきた。話を聞くと何者かがイアンを狙っているのだという。そしてその連中は「時計が止まると」現れるのだという。彼はなぜかイアンがかつてアイスホッケー部だったことを知っていた。昨日の5時3分の時点で時間が止まり、社会人にされたのだと男は訴える。そして連中は不死の存在で、イアンの記憶を狙っていることなども男はイアンに教えるが、話の途中でその謎の男は壁から出てきた手に引きずり込まれていってしまった。
慌てて逃げるイアンはメディアがいる自宅へと戻った。何者かが自分を狙っていると説明していると、メディアがイアンを刃で刺し殺してしまった。こうしてわけもわからないままにイアンは二度目の死を迎えた。

気付くとイアンは今度はタクシーを運転していた。そして後部座席にはジェニーが乗っていた。今度の世界ではジェニーとイアンは知り合いではなく、ただタクシー運転手と客という関係だった。ジェニーを自宅まで送り届けた後に周囲を見ると不審な人影がいて、イアンを見張っているようだった。
そしてイアンの前には再びあの謎の男が現れる。彼は「ジェニーを守り通せ。そうでないと終わりだ」とイアンに忠告するのだった。しかしいつの間にか男は消え、謎の化け物のようなものがイアンに襲い掛かる。こうしてイアンは3度目の死を迎えた。

次に気付くとイアンはカウンセリングを受けていた。相手のカウンセラーはジェニーだった。そしてイアンの周囲には再び不審な人影があり、イアンに向けて刃物をちらつかせてほくそえんでいた。イアンが慌てて逃げようとするがイアンを狙う連中は「無駄なマネはよせ」などと言ってくる。ジェニーが重要な存在だと気付いたイアンは慌ててジェニーから離れようとする。タクシーを捕まえて移動を始めるが、化け物に追いつかれてしまい、車を出たところ車に轢かれてしまう。息絶える寸前のイアンの前にはメディアが現れて「こんなこと嫌だけどこうするしかない」などと意味深な台詞を吐いた。こうしてイアンは4回目の死を迎えた。

次に目が覚めるとイアンは薬物中毒状態で大音量で音楽を聴いているという状況だった。今度はジェニーは同じアパートに住む同僚という設定だった。ジェニーのところへ行き、「奴らが来る前に逃げよう」と言う。ジェニーにはイアンの言っている意味が分からないが、扉を切り裂いて化け物が現れた。イアンとジェニーは慌てて逃げる。
現れたのはまたメディアだった。イアンはメディアに首を締めあげられるが、ジェニーが背後からは物を突き立ててイアンを救う。

イアンがジェニーと話すと、今までの別世界でのこともうっすらとジェニーも覚えているらしいことをイアンは知った。イアンはジェニーに一人で逃げろという言うが、ジェニーはずっと一緒にいると強く宣言した。
地下鉄に乗ったイアンとジェニー。ジェニーが寝ている間、再びイアンの前にあの謎の男が現れた。彼はイアンに真相を話し出す。「イアンを狙うのはハーヴェスターそいう存在であること」、「イアンもハーヴェスターであり、特に強い存在だったが同胞を裏切ったこと」、「ハーヴェスターは不死なのでイアンを殺すことはできず、幻の日常に閉じ込めていること」「ハーヴェスターは人間の恐怖を食らう存在だったが今は苦痛を与えてその時の恐怖心も喰らうようになってしまったこと」といったものだった。

電車を降りた先で再びメディアに襲われてしまう。そしてメディアの誘導でイアンもハーヴェスターとしての本能を抑えられなくなり、ジェニーを殺してしまいそうになる。だがそれに強い意志で逆らい、自ら線路に飛び込んでイアンは5度目の死を迎えたのだった。

今度の世界ではイアンはベッドに拘束されていていた。メディアはイアンに拷問を仕掛ける。メディアが知りたいのは「どうやってイアンがハーヴェスターを殺したのか」ということだった。イアンはかつて同胞を裏切ったが、不死であるはずのハーヴェスターをイアンは滅したため、その方法をメディアは知りたかったのだ。拷問を受けるままでイアンは酷く痛めつけられたが、再びあの謎の男がイアンのそばに現れる。彼も酷く衰弱していた。実は彼もまたイアンのようにかつて人間の女性を愛し、同胞のハーヴェスターを裏切ったのだが、そのために愛する女性を殺されてしまったのだという。もう充分に生きたという彼は「恐怖心ではなく愛を自分の糧としろ」とした。そして男はイアンに自分を殺させ、その苦痛によりイアンは力を取り戻した。その代わりにイアンは活力を取り戻した。

この世界ではジェニーは看護師だった。復活したイアンはジェニーを守るためにメディアたちハーヴェスターと戦う。真の姿と力を取り戻したイアンは強かったが、ジェニーを人質に取られてしまう。しかしイアンはジェニーごとメディアを刃で貫いた。息絶えるジェニーに対してイアンは「また会える」と約束した。

世界は最初に戻っていた。アイスホッケー部所属のイアンは冒頭の展開とは違い活躍し、勝利に貢献した。そんなイアンを恋人のジェニーも祝福した。ジェニーは今までのことは記憶になかった。イアンは再びハーヴェスターが周辺にいることに気付いたが、今のイアンに恐れはない。人知れず一対一でハーヴェスターの男と対峙し、不敵に「怖いのか?」と挑発した。

感想・評価

何者かの術中にはまり本来の自分を忘れていること、敵方に偽りの恋人がいること、主人公は同胞を裏切ったこと、実は主人公が凄い力を持っていること、恋人が重要な立ち位置にいること、などなどから「トータルリコール」と被っているところが多い。この作品は2007年作品だが、マトリックスをはじめとする、2000年代初頭に流行った仮想世界ものの作品の流れを汲んでいるものだろう。あと「死んだ瞬間に別の地点で目が覚める」というのはオール・ユー・ニード・イズ・キル、あるいは某漫画の5部のラスボスの末路とかを連想させる。今日も僕は殺される、なんてタイトルだが死んだ回数は5回程度であるので、オール・ユー・ニード・イズ・キルにこそ、こんなタイトルにしても全く違和感はないな。
ということで全ての要素が何かで見たようなものなので、今となってはあまり独創性は感じられる作品ではない。90年代にでも公開されればまた新鮮に感じたのかもしれないが。

苦言を呈したい部分が1つ。「ハーヴェスター」が不死の存在、人間の恐怖を食らう存在で人間社会に溶け込んでいるというのはともかく、「偽りの設定を作り出す」という力まで持っているのはちょっと突拍子もないものではないだろうか?仮にイアンの記憶をいじっているというだけなら別にいいのだが、ジェニーの設定までもいじって、というか、世界そのものまでを作り出してしまっている。ラストで再び大学時代まで時代が遡ったのもイアンの力だということだろうが、ちょっとこれが神の如き力すぎてどうかと。マトリックスを例にあげたが、あれは仮想世界が舞台だったから筋は通っていた。しかしこちらはガチで世界自体を自由に作り出してしまっているようなのだ。流石にこの設定はどうだろうかと疑問符がつくところだった。こんな力を持っていたら「本当の世界」が行方不明になってしまう。こんな力を持たせるのはちょっとやりすぎだ。

しかし話自体は王道で悪くはない。二番煎じ要素だらけで作られた作品ではあるが、エンタメとして普通に楽しめる。

人物解説

イアン

主人公。アイスホッケー部に所属する普通の大学生だったが、怪しげな人物に殺されたことを機に、死ぬたびに別の時代、別の設定の世界へと何度も飛ぶ。謎の男の助言によりハーヴェスターという化け物たちが自分を狙っているのだと気付く。実はイアンもそのハーヴェスターなのだが、人間のジェニーを愛したために改心し、人間の味方をするようになったらしい。ハーヴェスターは恐怖心を糧に生きるが、イアンは「愛」を糧に強くなることを知った。

ジェニー

イアンの恋人の大学生。なのだが、イアンが死んで別の時代に変わると会社の同僚だったり全くの他人だったりする。どの場合にせよこのジェニーはイアンにとっては味方であり、守るべき存在。最後はメディアと共にイアンの刃で貫かれて絶命したが、イアンの力で新たに生み出された世界で再びイアンの恋人として生存していた。ジェニーに以前の記憶はなかったが、イアンはいずれジェニーに真実を話すのだろう。

メディア

社会人設定のイアンの妻。しかしその本性はハーヴェスター。イアンは不死の存在であるハーヴェスターを殺す術を持っていたのでそれを知るためにイアンを狙っていた。イアンがジェニーを愛する以前には恋人だったらしいことを示唆する発言がある。最後にはイアンの刃で貫かれた。

謎の男

イアンに接触してきて忠告、助言する謎の老人。実はこの男性もイアンのようにかつて人間の女性を愛して同胞を裏切ったハーヴェスター。しかしこの男性にとっての大事な存在だった女性は殺されてしまったらしい。イアンは自分と同じ立場であるために助言をしていたのだった。もう充分に生きた、ということでイアンに自分を殺させ、イアンを復活させた。

項目別評価

映画「今日も僕は殺される」評価

二番煎じの要素を組み合わせたものではあるが、死ぬたびに別の世界に飛ぶという設定は単純に面白い。恐怖を自分の力とする、という設定だけでなく世界自体を作り変えてしまうというハーヴェスターが持つ力は荒唐無稽すぎてちょっとやりすぎ。

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