ランド・オブ・ザ・デッド 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年08月13日

その他ゾンビ映画の感想

評論

ここのところゾンビ映画ばかり見ているが、今回も。これはゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の2005年作品だ。

ゾンビが蔓延した世界。
ライリーやチョロなどが所属する若者グループがゾンビを倒しつつサバイバルしていた。 ある店で物資を調達した際、仲間の一人のマイクがゾンビに噛まれて自殺する。ここからの撤退の際、黒人のゾンビが銃を一つだけ人間から奪う。それを身に着けたままそのゾンビとそれに続くゾンビたちはライリーたちが車で去っていった道のりを歩き出した。
拠点の町に帰ったグループ。そこには大勢の人々が暮らしていて、カイフマンという人間が牛耳っていて、カイフマンがいるタワーには金持ちが住み、それ以外は町に住むことを余儀なくされている。マリガンという男はカイフマンの体制を崩そうと住民たちに呼びかけていた。チョロはライリーに「自分は家を持つ」と野望を話す。
ライリーは稼いだ金で車を買ったのだが、なぜか停車させておいた場所からなくなっていた。それを探すためにバーのような場所に来るライリー。ライリーに車を売った、紫色のスーツを着た小男に迫るが、車など知らないという。バーではゾンビを戦わせるイベントが行われていた。ゾンビを2人入れてえさとなる女性を入れて戦わせていたのだ。それを見かねてゾンビを撃ち殺して助け出すライリー。バーは騒ぎになり人は全て逃げ出した。

発砲により拘束されることになったライリーとその親友チャーリーと女性。女性の名前はスラックだ。 彼女はカイフマンに逆らったためにゾンビショーのえさになっていたのだという。 そうしている頃、あの銃を持った黒人ゾンビたちがライリーたちの住む町へとたどり着いた。彼らはゾンビたちが射撃の的にされているのを見て怒りを露わにする。
チョロがカイフマンのところを訪れ、家を持ちたいと交渉をする。しかし待たされると知るとチョロはカイフマンを恫喝するが、カイフマンは警備員を呼ぶ。しかしチョロは警備員を倒し銃を奪って逃げた。
チョロは仲間を集めたとき、あの銃を持った黒人ゾンビたちが一斉に町の外側から責めてきた。周囲を守る兵士たちが応戦するも、バリケードを破られる。チョロたちはどさくさに紛れてトレーラーのデッド号で脱出する。黒人ゾンビはここで銃を撃つことを覚えた。そのまま町の内部へと迫る。
チョロはカイフマンに連絡して500万ドルを要求するが、カイフマンはライリーに連絡してチョロの拘束か射殺を命令する。デッド号は協力な大砲を積んでいて、攻撃されたら町がピンチ。ここで、ライリーの車が消えたのはカイフマンの仕業だとわかる。ライリーは命令を聞く代わりに車1台を要求する。

チョロはマウスという部下を待ち合わせ場所に残して自分はデッド号で待ち受ける。
ライリーと女性とチャーリーはチョロとの交渉を行うために準備をしている。町の警備をしている3人の兵士、ビルズベリー、モータウン、マノレッティもライリーたちと共に行くことになった。
ライリーたちは町へゾンビが入っていった痕跡を確認してカイフマンへ連絡するがゾンビは川を渡れないと言って安心している。
近くの弾薬庫から弾を補給していたが、弾薬庫の中で大量のゾンビを見つける。弾薬補給後に出発する際に兵士のうち1人のマノレッティがゾンビに噛まれてしまう。スラックはマノレッティを射殺した。
ライリーは道中でデッド号を奪う算段であることをメンバーに白状した。町はどうせ全滅するとも。待ち合わせ場所にいたマウスはゾンビに襲われて死亡する。チョロたちは砲弾を大砲に込めた。

町の前の川で立ち尽くす銃を持ったゾンビたち。しかし黒人ゾンビが川に飛び込むと次々と続き、川を進んで町へと到達した。 ゾンビが町にやってきたことを知ったカイフマンは金を持って逃げようとしていた。ライリーはチョロが来るであろう場所で待ち受けていた。チョロに拘束されるライリー。 一方町はゾンビの手段に襲われていた。数が多い上に道具を使うことを覚えたことで手が付けられない状態に。 チョロがモータウンに銃撃されて重傷を負う。しかしライリーがかばったために重傷ですんだのだ。モータウンだけが死に、ライリーとチャーリー、スラック、ビルズベリーたちはデッド号に乗って町の人間の救出へと向かった。 チョロはデッド号をライリーに渡して部下の1人と残ったが、ゾンビに噛まれてしまう。「いつも上手くいかねえ」と自嘲しつつぼやくチョロ。部下がどうする?と聞くと「まだ撃つなゾンビになるのもいい」と言う。 そしてチョロは部下とも別れ、1人でカイフマンへと復讐をしに歩き出した。タワーににいよいよ入り込んできたゾンビたち。上流階級の住人たちはただただ虐殺されていく。 町へと入る橋へ到達したデッド号に乗るライリーたちだが、デッド号がゾンビに囲まれてしまった。ライリーは一人端を開けるために外へ出たが、戻るのに苦戦する。屋根からどうにか乗った。

フェンスぎりぎりまで逃げてきた住人たちにゾンビが迫る。デッド号で花火を打ち上げるも、学習したゾンビはそれに気を取られずまた進行を開始する。それを絶望的な表情で見つめる住民。
カイフマンは地下から脱出しようとするも、そこに黒人ゾンビが迫る。ガソリンの給油口を車に突っ込んでどこかにいってしまったので事なきを得たかに思えたが、さらにそこにゾンビ化したチョロが迫る。カイフマンがチョロともみ合っていると、どこかに行ったと思った黒人ゾンビがガソリンまみれの車へ火を投げ込み、カイフマンはチョロと共に吹き飛んでしまう。
ライリーが町にたどり着いたころ、フェンスを越えたゾンビたちは住人たちをむさぼっていた。もう全員助からないと判断したライリーはデッド号のミサイルを撃ち込む。誰も救えなかったと思ったが、生き残っている人間はいた。マリガンたちだ。
仲間と共にカナダに行こうと提案するライリー。黒衣jンゾンビを発見するが、「行き場を探している」として彼らを見逃す。そして花火を祝砲のように打ち上げ、仲間と共に旅立っていった。

ここから感想とレビュー。
ゾンビが蔓延した世界だが、それは当たり前として受け入れられている世界であってゾンビを殲滅するのが目的の映画ではなく、格差社会となっている町でのライリーやチョロのカイフマンへの謀反がメイン。そこにさらにゾンビたちがイレギュラー的に加わってもうしっちゃかめっちゃか、というような内容。

なんかどうも最初から最後までのめりこめなかったというか、あまり映画に没頭できなかった印象。それでなんでかな、と考えたことを書き連ねてみる。

現実世界とは違う大きな何か(これの場合ゾンビが蔓延しているという事実)があるフィクションの世界を描く映画って、そこにスムーズに入り込めるかが重要だと思うのだが、自分の中では、そういう面でついていけない印象があったんだと思う。
ゾンビによって世界はほぼ滅んでいて、残った人間は川に囲まれた町に集まって住んでいて、ライリーたちのような物資調達部隊や町を守る兵士たちがいて、デッド号というような高性能装甲トラックがあって、町には格差があって、チョロはそこで自分の家を買いたがっていて…というように、開始から数分の時点で飲み込まなければならない設定が多すぎる。そして、ゾンビが蔓延しているような世界でチョロが家を買いたがっているという願望を持っていることがよくわからない。この世界ではそれが一般的な夢だというのだろうか?ゾンビが蔓延しているという事実から目を背けて狭い町で家を持つことが?
別にゾンビ討伐を話のメインに据えなくてもいいが、ゾンビを当たり前のものとして受け入れすぎて気味が悪い。この世界の住民たちはどういう意識で日々を生きているのかがどうも分からないので、共感できない。ゾンビにあふれた世界でただ狭い世界での目先だけの幸せだけを見ている人間ばかりなのかこの世界は?あんな狭っくるしい町に住んでいてもいずれ破滅が来ることなんて見えているだろうに。そういうこと考えていくとこの世界全体が気持ち悪くて、理解不能なのでのめりこめるわけもない。
思うに、カイフマンという男が町を牛耳るようになるまでの過程を、冒頭部分でダイジェストのような感じでいいから演出すれば全く印象が違ったと思う。彼が金に物をいわせて、町を鉄条網で覆い、兵士を雇い、あのビルを築き、金のないものはビルの外のスラムじみた場所で暮らすようになる社会が形成されるまでの過程、そんなものを簡易的に表現するだけできっと全く印象は違ったはず。過程がないため、いきなりそこにあるハリボテじみた設定でしかない。

次にゾンビの演出について。流石にゾンビ映画の巨匠という事で、ゾンビの恐ろしさおぞましさは表現できていると思う。足は遅いものの捕まったら最後という恐ろしさがある。ゾンビなのに知性を持ち、人間から奪った銃を使う黒人ゾンビの存在なんかも面白いと思う。
が、気になったのはモブのやられ方、死に方。なんかあまり危機感感じさせず、義務的にキャーキャー言って逃げ回り、義務的にかみ殺されてるっていうような。ゾンビ映画ではこういう風にモブは襲われますよーやられますよーっていう、ただそれをこなしているだけの印象。

そして最後に黒人ゾンビに対してライリーが「俺たちと同じで居場所を探してるのさ」なんて、なんだか慈悲のようなものを見せるのもよくわからないものがある。別に伏線も何もないので、いやいや何でゾンビにそんな情を感じちゃうの?って思うのも当然だろう。ゾンビをクリーチャーとしてではなく、あたかもゾンビという尊ばれるべき一つの種族のように扱っている。自分らを殺す存在だってのに言っとる場合かー!っと思ってしまった。とかく、一言で言えば「共感できない映画」だったという印象だ。

項目別評価

ゾンビ映画の第一人者の監督が作ったということで、ゾンビの能力や描写はまさに一般的に浸透しているゾンビのイメージそのまま。動きは鈍いが力は強くて銃撃でもなかなか倒れず、一度かみつかれればそのまま押し倒され、内臓を生きたまま食われる。ゾンビがちゃんと恐ろしい化け物であるのでゾンビが出れば緊迫感がある。が、ストーリーにどうにも入り込めない感じがあって、どうも話半分で最後までボーっと視聴していたような感じだった。

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