メカニック:ワールドミッション 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年1月24日

あらすじ・ネタバレ

ブラジルのリオデジャネイロで主人公の殺し屋アーサー・ビショップがとある酒場で女性と出会う。彼女は「ボスからの伝言。とある3人を殺せ」という命令だった。ボスというのはクレインという男のこと。

しかしアーサーは「俺に構うなと伝えろ」と言いその女性を気絶させ、周囲に待機していた殺し屋たちを倒してしまう。 アーサーは身を隠し、タイ南部のリベ島というところにいるメイという女性のところへ。メイはかつてアーサーに救われていて、それ以来アーサーと親睦がある。アーサーが敵を調べる間匿ってくれるのだった。

メイの元へ薬が欲しいと言ってきた白人女性がいた。彼女は近くの船に停泊していた。
その船の上では女性が暴力を振るわれていた。メイは気にかけて、アーサーに救って欲しいと頼む。

アーサーは船に乗り込むと女性に暴力を振るっていたフランクという男を倒し、殺してしまった。船を調べるとアーサーの写真が出てきた。船ごと焼却して証拠を抹消した。
女性の名前はジーナ・ソーンというアメリカ人だった。アーサーは自分の写真を持っているということは先の女性同様、クレインの手下かと聞く。しかし手下ではなく、脅されて仕方なくアーサーの元へ来たという。襲われた女性を装ってアーサーに近づこうとしたが、同行したフランクが本当に襲ってきたのだった。事情を叱咤アーサーはジーナを引き入れて味方にする。

アーサーは端末で検索し、ジーナが特殊部隊出身であること、そしてそれを辞めてカンボジアで慈善活動をするようになったと知った。
ジーナはなぜクレインの言いなりになっているか話す。ジーナはカンボジアで人身売買の保護をしているが、ある時その職員が殺された。言うことを聞かなければさらに死人が出るとクレインに脅されたのだという。

新たなクレインの手下が島に迫って来ていた。アーサーとジーナは恋人を装って目立たないようにしていた。
夜になり、ジーナは感謝しているとアーサーに言う。自分が保護している孤児たちが殺されたりしたら耐えられないと。アーサーは自分やクレインも元々は孤児で、ギャングに売られて少年兵として訓練したということを話す。しかしクレインを置いてアーサーは自分だけ逃げたため、クレインはアーサーを恨んでいるのだという。その後、アーサーとジーンは体を重ねた。

二人を監視しているクレインの部下たちは依然監視している。アーサーはジーナにだけ密かに船で脱出しろと言う。ジーナに父親の形見を預けて、次に会うまで持っていてくれと頼んだ。
しかしアーサーとジーンは囲まれて囚われてしまう。アーサーはタイのバンコクに連れていかれてクレインと会った。 ジーナを助けて欲しいなら3人を殺せと今度は直接クレインに命令される。アーサーはやむなくこの殺しを請け負うことに。

一人目はクリルというアフリカの武器商人で今はマレーシアの刑務所にいる。
標的がいるのはマレーシアのペナン城という断崖の島にある刑務所だった。アーサーはバスマンという性犯罪者の情報を調べていた。この男の顔にはサイコロの刺青があった。 このバスマンになりすましてアーサーはわざと暴力沙汰を起こして刑務所へ潜り込んだ。事前にたばこやガムなどの所持品に必要なものを仕組んだりも。
クレインからは「あくまで事故に見せかけろ」という指示もあった。ただの暗殺ならば失敗とみなすと。
刑務所内だというのにクリルには屈強な警備が常につきまとっていた。そしてクリルに恨みを持つ者も所内にいた。
アーサーはある男から刃物を盗んだ。そしてクリルを殺そうとした者にそれを投げつけてクリルを助ける。するとクリルは「命の恩人だ」と感謝し、夕食に招待した。アーサーが手下が気に入らないと言うとクリルは「じゃあ手下は下げさせる」と言った。
アーサーはクリルを背後から襲って気絶させた後に薬を飲ませて座らせておき、事故で死んだように見せかけた。
クリルが死んだことで騒ぎになった所内。どさくさに紛れてアーサーはたばこに仕組んでいた爆弾を使って爆発させて脱獄、サメ避けクリームを塗った上で海に飛び込んだ。そしてクレインの部下はアーサーを回収した。

クレインはアーサーの仕事に満足した。しかし36時間以内に次のターゲットを殺さないとジーナを殺すという。 エイドリアン・クックというのが二人目の標的だった。場所はオーストラリアのシドニー。大都会のビルの58階に住む鉱業会の富豪だが、元々は娼婦の胴元として財を成した。クックがいるビルは要塞だとクレインは説明する。しかし屋上にあるプールが穴となっていて、これを利用して暗殺することができるとアーサーは考えた。
アーサーは物件を見に来た男性を装ってビルに入った。そして案内人の女性のカギの写真を撮った。
そしてその後作業員を装ってビルに潜入。特殊な道具を使ってビルの外壁を登っていく。屋上のプールは特殊な厚いガラスになっているが、の底にドリルを使って少しを開け、そこに爆弾を入れてヒビを入れてプールに穴を開け、転落死させた。これもガラスがたまたま壊れたとしか見られず、事故死となった。

2人目のターゲットも見事に事故死として殺したのを確認したクレイン。再びアーサーに連絡する。
ジーナはカメラ越しに時計を見せる仕草をするふりをして自分がいる場所の手がかりをアーサーに見せた。それを元にアーサーはシドニーの港に停泊している船にジーナが監禁されていると見抜いた。

アーサーがヘリで向かうとすでに船はなかったがすぐに発見。船に乗り込む。 船の見張りを次々殺害して内部へ潜入する。しかし囲まれて拘束されてしまう。
クレインは3人目を殺さないと女が死ぬと改めて命令する。

3人目のターゲットはブルガリアのヴァルナという港町にいるマックス・アダムスというアメリカ人武器商人だった。
ターゲットは厳重な警備の館にいる、ICBMを積んだ潜水艦まで所持しているらしい。このアダムスを殺すのは最も困難で、しかもクリルとクックが殺されたことでアダムスは警戒している。
アーサーはクリル、クック、アダムスが商売をしている範囲を調べ、彼らはクレインの商売仇だと気付いた。

アーサーはアダムスの館の救急マニュアルに目をつけた。救急ヘリに目を付ける。まずアダムスの館の見張りを遠距離から狙撃して救急ヘリを出動させ、それにアーサーも乗り込んだ。こうして忍び込むことはできたが内部も厳重な警備になっている。
アダムスは館の中で誰も通さない部屋に入ったがすでにアーサーは入っていた。アーサーは殺しはせず、アダムスを抱き込もうとする。アダムスはアーサーの話に乗った。

アーサーはクレインが食い付くエサが必要だとアダムスに言う。「アダムスの死」が最も適しているとし、アダムスは偽装として死ぬことになった。
潜水艦ドックで爆発が発生してアダムスは溺死したように見せかけられた。アダムスは救助されていたが、マスコミはアダムスは死んだと報道した。
アーサーはクレインに連絡し潜水艦と一緒にアダムスの死体もあると言って誘った。クレインはこれに乗ったが、同時にアーサーを殺す気だた。あらかじめ潜水艦ドックに罠を張りクレインの部下を待ち構えていたアーサー。継ぐ次に部下たちは倒されていった。

アーサーはジーナとクレインがいる船へ向かい決着を漬けに行く。
船に乗り込み再び敵を倒していくが、ジーナが抵抗したせいで腹部に銃弾を受けてしまう。
クレインは船を3分後に爆発させる処理を行いヘリで脱出しようとした。アーサーは負傷したジーナを確保して脱出用のポッドで行かせる。
アーサーは残りクレインたちと戦うアーサとクレインは。一対一の肉弾戦になる。クレインは「俺を見捨てたことを償え」と言うがアーサーは「諦めろ。これが第三の殺しだ」と返す。

クレインはがんじがらめにさらたまま船に放置されて爆死。「泳いでも死ぬ」と言われるとアーサーは「誰が泳ぐって?」と返したが、爆発後、ジーナが捜しても姿は見当たらなかった。アダムスは「伝説も死ぬさ」と言った。

その後カンボジアのプノンペンでジーナは人道支援を続けていて、タイにいるメイに手紙を出していた。
ふと見ると死んだと思われたアーサーが立っていた。

一方殺されることのなかった第三の標的アダムスは、爆発しても原型をとどめて残っていた船に残っていた「潜水鐘」というものを調べていた。それは爆発にも耐えられる鋼で出来ていて、空気も含んでいるため水中で呼吸もできた。それを知ってアダムスは一人感心していた。

感想・評価

前作メカニックは「主人公アーサーの相棒(父親をアーサーに殺された)が最後には密かにアーサーを殺そうとするが返り討ち」という話だった。相棒が実は敵という、設定のおかげで結末が予想できず 、おかげで凡庸なアクション映画とは一線を画すものになっていた。逆に言うと他は基本的にそれほど特筆するところのない、ステイサム無双のアクション映画、という印象だった。

だから二作目のこの作品も「何かしらの特殊なスパイスがないと平凡なアクション映画になっちゃうんじゃないか」とやや不安を覚えながら見たのだった。しかしそんな心配は杞憂だった!

タイトルの「ワールドミッション」の通り、世界中を飛び回っての殺しを行うというものだ。これは大好きな作品、ミッションインポッシブル・ゴーストプロトコルに似ている。潜入任務を3つも4つも贅沢に一作に収めちゃったら面白くないわけないだろう!というわけだ。3つの殺しを渋々やることに決めて以降、全く飽きない。次はどこ?どうやってやるの?とワクワクしてしまう。

特に2つ目のシドニーでの高層ビルでの殺し。
ターゲットのクックは自分の富と権力の象徴として作った天空プールから落下死するのだが、外壁を登って行って底に爆弾を仕掛けて穴を空けるという一連の作業がまるでアトラクションか何かのようで視覚的に面白過ぎる。ビルから飛び出てる天空プールというのが、それだけでちょっと笑える。そこまでして権力を見せたいのか。むしろこのクック、「あんなビルから突き出た頭悪そうなプール作ってるぜアイツ」とか大爆笑されてるんじゃないかとか思ってしまうのだが。
この2番目のシーンは色々な意味で面白い。ゴーストプロトコルのドバイのシーンより面白い。

あと、銃アクションがかなりレベル高く格好いい。アーサーが撃つのはことごとくがサイレンサー付きのもので、風を切るような音と共に放たれる銃弾でバッタバッタと敵が倒れていくのはスピード感あり爽快。最後の船の上での戦いでは三次元的な動きで身を隠したりするのも面白い。

前作同様に非常に高いレベルのアクション映画になっている。アクション映画好きなら絶対に観て損はない。アクションは豪快なものより潜入ミッション、ミッションインポッシブル寄りなのでそっちが好きならよりオススメ。

登場人物解説

アーサー・ビショップ

演:ジェイソン・ステイサム
メカニックと呼ばれた伝説の殺し屋。リオデジャネイロで過ごしていたところクレインの手下の女性が接触してきて「三人のターゲットを殺せ」と指示される。いったんは断るが、タイでジーナと共に囚われてジーナを人質にされ、やむなく殺しを行うことに。今作の舞台はブラジル、タイ、マレーシア、シドニー、ブルガリア、そしてシドニーの海上と移り変わり、それぞれで縦横無尽の活躍を見せる。

ジーナ

演:ジェシカ・アルバ
米国籍の女性。特殊部隊にいたがカンボジアのプノンペンで人道支援をするようになる。クレインに同僚や子供たちを殺すぞと脅され、アーサー襲撃計画に加担したがアーサーに見抜かれて味方になる。というか一気に恋人になる。しかしすぐに囚われてアーサーの弱みに。アーサーからは父親の形見の腕時計を預かった。
メイは「気の強そうな子だから抵抗して反撃に遭いそうで危ない」とアーサーに話したが、その通りで、終盤で敵に下手に抵抗したおかげで腹に銃弾を受けることになってしまった。序盤のタイでは露出度の高い水着を披露。

クレイン

演:サム・ヘイゼルダイン
アーサーに3つの殺しを行うように指示した武器商人。かつてアーサーと同じくギャングに買われて少年兵として育てられていたが、アーサーだけそこから逃げ出したために恨みを抱いた。3人のターゲットは全員が武器商人で、クレインの商売仇だった。アーサーに商売仇を殺させ、最後にはアーサーも殺して万々歳というところだったのだろうが、3人目のターゲットアダムスとアーサーが結託してしまい、失敗に終わる。最後は自分の船の爆発に巻き込まれて死亡。

メイ

演:ミシェール・ヨー
かつてアーサーに助けられたタイ人女性。殺し屋に追われたアーサーを一時匿う。タイのリベ島で店を経営していて、そこにやってきたジーナが傷を負っているのを見抜き、アーサーに助けるように言った。ラストシーンではジーナからの手紙を受け取っている。

クリル

演:フェミ・エルフォウォジュ・Jr
アフリカの武器商人。マレーシアにある絶海の孤島の刑務所に収容されているが、刑務所内でも権力を持っていて何人も部下がいる。アーサーはまず刑務所にわざと入ってクリルに恨みを持つ者がクリルを狙うまで待ち、クリルを助けて取り入り、2人きりになったところで殺すという方法を取った。

クック

演:トビー・エディントン
二番目のターゲット。シドニーの高層ビルに住んでいて、しかもそのビルの屋上にはビルから外側に大きく突き出たプールがあり、権力を誇示している。このちょっとバカっぽいプールが命取りに。ビルに潜入したアーサーはビルを登っていってプールの真下に取り憑き、少し穴を空けてその中に爆弾を設置。底に穴を空けてクックを落下死させた。

マックス・アダムス

演:トミー・リー・ジョーンズ
ブルガリアに住む武器商人で南米と北欧で活動する。クレインが指示した三番目のターゲット。しかしこのアダムスを殺そうとする段階ではアーサーは「クレインは商売敵を自分に殺させている」と気付いていたため、クリルやクックとは違いアダムスに手を組むことを提案する。銃を突きつけられている状態でも全く動じないため、クリルやクックとは器が違う印象。トミー・リー・ジョーンズを使ったからもちろん別格の大物ということなのだろう。クレインをだますために潜水艦ドックで死んだように見せかけられたが生存。このアダムスもクレインと共にアーサーが爆死したと思っていたが、爆発しても残っていた「潜水鐘」というものが気になって調べていたところ、この中にいれば生存できたことを知る。監視カメラにもアーサーが映っているのをアダムスは確認し、その映像を消したところでエンドクレジットに入る。締めも大物俳優ジョーンズが担当することになったということだろう。

項目別評価

タイトル通り世界を飛び回って色々なロケーションで殺しを行うというもので、退屈させない。派手な銃撃戦ではなくスパイもののような任務。ミッションインポッシブルが好きならきっと楽しめる。

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