メカニック(映画) 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2017年05月30日

あらすじ・ネタバレ

2011年、ジェイソン・ステイサム主演映画のあらすじとネタバレ。
冒頭、とある富豪がプールで泳いでいる時に暗殺者がそれを大胆にもプールに入って殺害するシーンが。
彼の名前はアーサー・ビショップといい、凄腕の暗殺者。機械のように完璧な仕事をすることから「メカニック」とも呼ばれる。

アーサーの友人にはハリーという老人がいた。彼はアーサーこそは最高の仕事を行う暗殺者とほめたたえた。
アーサーはWEBサイトで次の標的の情報を得るが、そこに表示されていたのはなんとハリーだった。
何かの間違いではないかと、自分へ命令を下している組織のトップ、ディーンに会う。ディーンによればハリーはケープタウンであったある大仕事を失敗し、組織の暗殺者5人もの犠牲が出た。うち一人はセバスチャンという男でアーサーの顔見知りだった。こんなことになったのはハリーが情報をターゲットに教えたからだという。だから裏切り者のハリーを殺せというのだった。

アーサーはハリーに対して「あんたは狙われている」と伝えて地下駐車場に誘導するが、それ自体がアーサーの罠だった。ハリーを孤立させるために、彼を救出するようなそぶりで誘導したのだった。そこでハリーは自分の銃に書かれた「周到な準備が勝利を招く」という文字を読み上げた。アーサーは神妙な顔つきでハリーと話していたが、結局は指示通りに銃殺した。

ハリーにはスティーブという息子がいた。スティーブは荒くれ者で、父親が何者かに殺されたことに苛立っていた。スティーブはアーサーや父親のハリーが暗殺組織に属していることを知っていた。そしてアーサーに対して「暗殺者としての手ほどきをしてくれ」と頼み込む。

一度は断ったアーサーだったが、ハリーに対しての義理を感じてスティーブを暗殺者として育て上げることにした。
その手始めとしてスティーブに犬を飼わせて世話をさせた。スティーブは着実に銃の腕を上げて暗殺術を覚えていった。アーサーは殺しの現場にスティーブを同行させてその一部始終を見せることもあった。
そしてスティーブが単独で殺しを行うことになった。体格のいい同性愛者で、飼った犬をきっかけにしてスティーブはその男に近づく。相手は体格がいいためまともにやっては太刀打ちできないということで毒殺する予定だったのに、自分が同行した殺しの際にアーサーが絞殺したのを思い出したスティーブは対抗心からか絞殺しようとする。懸念通り反撃に会ってしまうも、重傷を負いながらもなんとか殺しは成功させた。しかしアーサーはスティーブに「手際が悪い」と厳しい評価を下す。

スマートに殺しを行わなかったことからディーンから「組織の者以外を使って殺しをさせたろう」という苦言を呈する連絡が来たが、次の殺しではアーサーはスティーブと二人で行うことにした。
ターゲットの殺害には成功したものの、ここでもスティーブのミスのせいでボディガードたちに気付かれてしまい銃撃戦になる。騒ぎになってしまったため、アーサーとスティーブは一時別れ、アーサーの家で合流することになった。

単独で行動していたアーサーは偶然ある人物を見かける。それはハリーが裏切ったというケープタウンの件で死んだはずの男の一人セバスチャンだった。その男に聞くと「自分が死んだように偽装しろ」というディーンからの命令だったという。ハリーは本当は殺しをする組織に嫌気がさし、それを明るみにしようとしたのであり、ケープタウンの件で裏切ったから仲間が5人死んだというのは嘘だった。ハリーをアーサーに殺させるためにディーンは偽装を指示したのだった。

ディーンが自分を裏切ったと知ったアーサーは怒り、ディーンを殺そうとする。スティーブと共にそれを行おうとするが、スティーブはこの同行中にあることに気付く。アーサーが父ハリーの銃を持っていたのだ。「周到な準備が勝利を招く」という文字が書かれた特徴的な銃。スティーブは「もし知り合いを殺すことになったら警告したりするのか?」とアーサーに問う。アーサーは「そんな安らぎなどない」と答える。スティーブは「悟らせないのが一番ってことか」と言い、密かにアーサーを殺して父の仇をうつ決意を固める。

ディーンの側近であるフィンチの元へ行き、その家族を人質に脅してディーンの居場所を吐かせようとするアーサー。フィンチは娘の手がミキサーに入れられた瞬間に居場所を吐いた。しかしそれは見せかけで、ミキサーにかけたのは食用の肉だった。

ディーンはあるビルにいた。そこにかかってきた電話にディーンが出るとアーサーだった。「私のところまで来れるわけがない」と余裕を見せるディーンだったが、すぐ近くにアーサーがいると判ると余裕がなくなり慌てて逃げる。しかしアーサーからは逃げられなかった。ディーンの乗る車を重機で捕獲してひっくり返した後、ディーンはアーサーとスティーブに撃たれて無惨に死亡。

ディーンに復讐をした後、アーサーとスティーブは車に乗って移動、ガソリンスタンドに到着する。そこでこれからのことなどを話す二人だったが、スティーブがハリーの銃を持っていることにアーサーはここで気づいた。
スティーブはガソリンが漏れるように細工をしたうえで何気ないそぶりで車から離れてから銃撃、アーサーが乗る車を木っ端みじんに吹き飛ばした。

アーサーを吹き飛ばしたスティーブはアーサーの家へ来た。そしてアーサーへの手向けとばかりに、以前触るなと言われたレコードをかけ、そのままアーサーの車に乗って出た。
しかしそこで助手席に紙が置いてあることに気付く。「スティーブ、お前はもうすぐ死ぬ」と書いてあった。アーサーは自分のことを何もかも見抜いていたと知ったスティーブは思わず声をあげて笑う。その瞬間スティーブの乗った車は大爆発してスティーブは死んだ。同時に、レコードをかけると作動する仕掛けによりアーサーの家も爆発。アーサーはスティーブの行動を全て見切っており、こうなることまで読んでいた。

ガソリンスタンドでの大爆発の際、アーサーは実は車から離れており、死んでいなかった。ただ淡々と用意した車にアーサーが乗り去っていくシーンが映画の結末となる。

感想・評価

ある一人の目茶苦茶に強い主人公が悪の組織相手に大立ち振る舞い!なんて作品は映画では定番中の定番中の定番であって枚挙に暇がない。ランボーとか沈黙シリーズとか、この作品の主役を演じているジェイソン・ステイサムならトランスポーターシリーズだろう。この作品「メカニック」もそういう作品であって、大筋はまったくもってありがちなものとなっている。

だが一つだけ決定的に違う部分がある。主人公の相方に「主人公が殺した人物の息子兼主人公の弟子」を設定したことだ。主人公アーサーは親しかった友人ハリーを殺し、その事を黙って息子のスティーブに暗殺術を教えるのである。これによって、アーサーが悪の組織を蹴散らすまでありがちなアクション映画というわけではなく、その先どうなるのか?が読めなくなっているのだ。
後半、スティーブはアーサーが父親の持っていた銃をなぜか所持していることを知り、その時点でアーサーが自分の父親を殺したことに気付く。この時視聴者としてはどういう結末を予想するか。

とりあえず今適当に数パターン思いついた。こんな感じだ。
@:アーサー「お前に殺されるなら本望だ…殺しな」スティーブ「(なんやかんやで殺さない)」
A:スティーブ「あんたは俺の父親を殺した。しかしあんたは俺のもう一人の父親だ…」アーサー「スティーブ…お前ってヤツは…(感激)」
B:スティーブ「なぜ、なぜ殺したんだ!(バーン)」アーサー「ス、スティーブ…!(死亡)」

…なんか自分でもちゃっちい想像力だな、とか思ってしまうのだが、とりあえず例として。
しかし上に書いたネタバレの通り、こんな展開ではない。なんとアーサーがスティーブを返り討ちで爆殺である。
自分の予想としては@が近いものだった。少なくともアーサーとスティーブはどういう形であれ和解するのだろうと。そこはまず外さないだろうと思い込んでいた。まさか容赦なく爆殺するとは、スティーブが最後の最後で死ぬとは、思いもよらなかった。

思えば序盤でハリーの事を思って誘導するのも実は自分が殺すためだし、意図的に「アーサーが実は情に厚い人物である」ことを演出して視聴者を騙す作りになっている。実際のところアーサーにそんなセンチな感情などさらさらなく(知り合いを殺すと後できいてくるなどとは言っているが)、ただ自分の仕事を淡々とこなす、まさにプロフェッショナルだということが強調されている。

大筋の展開はよくあるアクション映画でありながら、ほんのちょっとのスパイスを加えただけでここまで予想外に、面白くなるのかと感心させられた作品。ブリッツとかエクスペンダブルズとかトランスポーターとか、ジェイソン・ステイサムの作品はそれなりに見たもののどれもあまり心に響くものはなかったのだけれども、この作品はステイサム作品では随一に面白かった。オススメ。

登場人物解説

アーサー・ビショップ

演:ジェイソン・ステイサム
凄腕の殺し屋。メカニックとは殺し屋のことを指す。基本的に殺しは犯罪を犯した者だけをターゲットとされているよう。必殺仕事人とかマーダーライセンス牙みたいなイメージ。自分が殺してしまったハリーの息子スティーブに対してハリーへの義理からか暗殺術を教える。ハリーの件は実はハリーは仲間を裏切りなどしておらず、アーサーは自分が騙されていたと気付くと雇い主ディーンに反逆。その後自分に復讐しようとしたスティーブもなんと容赦なく返り討ちに。自分が言っていたように一貫して冷徹な暗殺者だが、日常では善良。

スティーブ・マッケンナ

演:ベン・フォスター
アーサーの友人ハリーの息子。暴力的なろくでなしであってハリーは愛想を尽かし気味だった。しかしハリーに対して息子としての情はちゃんとあったらしくハリーが死んで以降荒れる。そうしてアーサーに殺し屋としての仕事を教えてほしいと頼み、自分自身も暗殺者、メカニックに。最初の殺しではアーサーが素手で殺したのを思い出し、自分もそうしようと対抗心を燃やして毒殺するのをやめるシーンがある。かなりの負けず嫌い。後半でアーサーが父親の銃を持っていたことに気付いて、アーサーがハリーを殺したのだと気付く。二人でディーンを殺した後はアーサーも殺そうとするも、それを読んでいたアーサーに返り討ちにされ爆死。最後は「こんなん笑うしかない」と言わんばかりに、アーサーの手腕に脱帽したように笑って死んだ。

ハリー・マッケンナ

演:ドナルド・サザーランド
アーサーと同じく殺し屋の組織に属している老人。今は車いす生活になっているが、組織にはかなり貢献した重鎮らしい。ある事件でハリーが裏切ったゆえに仲間が数人死んだとされ、アーサーにハリーの殺害指示が来た。アーサーはその指示通りに殺してしまうが、その情報は偽りで、本当はハリーは組織の行いを明るみに出そうとしていたのだった。

ディーン・ゴールドウィン

演:トニー・ゴールドウィン
アーサーやハリーが属している暗殺組織に指示を出している人間。ハリーを殺すようにアーサーに指示を出したが、それはハリーが仲間を裏切ったからではなく、ハリーがディーンの行っていることを明るみに出そうとしたからだった。真実を知ったアーサーに追い詰められ、ひっくり返った車から顔を出したところをアーサー、スティーブの二人がかりでマシンガンで撃たれ死亡。その様子は映されないが不必要に銃撃が長いので遺体はえらいことになってそう。

セバスチャン

演:デビッド・レイチ
アーサーと同じく暗殺組織の一人。ハリーが裏切ったせいで失敗し5人の死者を出したというケープタウンの件で死んだと思われていたが、実は死は偽装だった。それをアーサーに教えた直後にバスの中でアーサーと戦いになり、バスから放り出された時に車に轢かれて死亡。ディーンはケープタウンの件に関わった5人は手練れだと言ったが、アーサーに対してかなり食い下がったのでその通りだった。作中最もアーサーを苦しめた男。

項目別評価

一騎当千のつわものが悪の組織と戦う、というよくあるアクション映画かと思いきや、相方に「恩人の息子」を据えたことで実にいいアクセントになり退屈させず、しかも結末を読ませない。ジェイソンステイサム作品の中ではピカ一に好きな作品となった。

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