ペット・セメタリー(映画) 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>ペット・セメタリー(映画)

執筆日:2018年2月2日

あらすじ・ネタバレ

主人公のルイスは医者。妻のレイチェル、第一子で娘のエリー、そして第二子でまだ歩き始めたばかりのゲエジ、それにエリーが可愛がっている猫チャーチルと共にアメリカのメイン州に引っ越してきたのだった。

ルイス一家が住む事になった家の前には道路があり、そこはいつも高速でトラックが走り抜ける危険な場所でもあった。家の向かいにはジャドという老人が住んでおりルイス一家を歓迎してくれた。またジャドは近辺にある墓地のことも教えてくれた。そこは道路で轢かれて死んだ動物たちの墓が数多く建てられた「Pet Sematary」という誤字の看板が書かれた墓地だった。

ルイスが新生活を始めて間もなく、勤務するルイスの元にパスコーという青年が運び込まれて来る。すでに脳が見えているような状態で誰の目にも死が明らかだったが、ルイスはそれでもやるべきことをやるとして処置をする。すると突然パスコーは目を開けてルイスに話しかけてくる。パスコーはルイスの名前をなぜか知っており、また会いに来ると言った。
そして夜、家で眠るルイスの元にパスコーが現れる。パスコーは「Pet Sematary」へとルイスを導くと「あの向こうには足を踏み入れてはいけない」と、さらに奥にある地へは入らないように警告する。ルイスはこれは夢だ、早く醒めてくれと願う。ふと気づくと家のベッドだったが、足が泥まみれになっていて夢ではないことを示唆していた。

ルイス以外が実家へ帰省しているある時、ルイスにジャドから連絡が入る。ジャドの家の前で猫が死んでいるという。確かにそれはエリーが可愛がっていた猫のチャーチルだった。エリーが悲しむことを懸念したルイス。するとジャドがあることを提案する。ジャドは「Pet Sematary」の奥、パスコーが足を踏み入れるなと警告していた禁断の地へとルイスを案内した。するとそこには奇妙な場所、ジャドが言うには先住民の使っていた墓地があった。ジャドは「この地に死者を埋めると蘇生する」という事をルイスに教える。ルイスがチャーチルの死体をそこに埋める。するとしばらくして確かにチャーチルは蘇生したのだった。しかしチャーチルは土と腐臭にまみれ、さらに狂暴化しており以前とは違うものになっていたのだった。

またレイチェルはルイスに黙っていた自分のトラウマをルイスに話した。それは幼い頃に背骨に障害を持つ姉ゼルダの世話をしていたが、それを疎ましく思っていて早く死んでほしいと願っていた事、そして実際に死んだ時実は喜んでいたということ。ルイスはレイチェルに、幼かったのだからしょうがないと慰めた。

家族は幸せな日々を過ごすが、悲劇が起こる。家族、それにジャドも合わせてそろって外で遊んでいた時、ゲエジが道路に飛び出してトラックに轢かれてしまったのだ。慟哭するルイス。
葬儀ではレイチェルの父親は「なぜ道路の近くでなど遊んだ!」と激怒しルイスを殴りつけた。

ジャドは自分がルイスにあの墓地の事を教えたせいでこんなことになってしまったのだろうと悔いる。そして悲しみに暮れるルイスの考えを察した。つまり、ルイスはゲエジをあの先住民の墓地を使って蘇生させようとしているのだ。だがそれはやめろとジャドは言う。かつて人間でそれを行った者もいたことをジャドはルイスに話す。それは第二次大戦で死んだ息子を生き返らせようと父親が行ったのだが、やはりそれは元々の人格とは違う狂暴な獣のような性質になっており、近隣住民に家もろとも焼かれてしまったのだという。この際父親も共に死んでしまったのだった。
しかしそれを聞いてもルイスはゲエジを蘇生させようとする気持ちを抑える事は出来なかった。レイチェル、エリーが再び実家に帰省している時にルイスは決行を決める。
墓を暴き、ゲエジの遺体を運び出そうとするルイス。一方でレイチェルはパスコー(レイチェルからは見えない)から暗に警告を受けて、胸騒ぎを覚えてルイスのいる田舎へと戻ろうとしていた。ジャドもルイスが蘇生儀式を行ってしまうことを察して「厄介な事になる」と予感した。

ルイスは蘇生のための墓地への埋葬を完了させると疲れて家で寝入ってしまう。ルイスが寝ている間、蘇生したゲエジは密かにルイスの持つ医師用のメスを盗み出していた。
そして異変を察知したジャドは真夜中にふと目を覚ます。ジャドの家の中には泥の足跡があり、ゲエジが入ってきたことを示していた。「かくれんぼをしよう」とジャドに呼びかけるゲエジ。ジャドは隠れていたゲエジにメスでアキレス腱を切られ、さらに首元を噛み切られて死んでしまうのだった。ゲエジは顔はほとんど生前のまま綺麗な状態だったが、やはり性格は残忍な悪魔のようになっていたのだ。

一方レイチェル。色々な障害がありながらもパスコーが密かに助けを出して帰路を手伝っていた。レンタカーで事故を起こしてからはヒッチハイクでトラックに乗せてもらいついには家に戻る。ジャドの家で何かあったと勘付き入るが、そこでは姉ゼルダの幻影がレイチェルを責め立てた。そしてそれが消えると目の前にいたのは死んだはずのゲエジ。レイチェルはゲエジがメスを持っていることも知らず抱きとめようとしてしまうのだった。

そしてようやくルイスが目を覚ます。電話がなり、レイチェルの父から「レイチェルは戻ってないか」と聞いてくる。その電話を切り、再び電話が鳴ったので出ると今度はゲエジからだった。「ジャドの家にいる。ジャドやママと遊んだ」と言うゲエジの言葉を聞き、二人は殺されたのだと察したルイスは身動きできなくなる薬物が入った注射を持ち、ゲエジを葬る覚悟を決める。
ジャドの家の前にはチャーチルがおり、それに対して薬物を注入すると身動きしなくなるのを確認する。一度生き返った死者に対しても薬物は有効なのだ。
そしてついにジャドの家に入る。またゲエジはかくれんぼをしてジャドにしたようにルイスを翻弄する。ジャドの無惨な死体を見つけた後、さらに今度はレイチェルの遺体を首つりさせて驚かせながらゲエジが姿を現す。メスで切り刻まれ重傷を負うも、ルイスはゲエジの首に注射を打つ。ゲエジは「ずるい」と言うと目を瞑り動かなくなった。

ルイスは家に火をつけてゲエジを葬る。そしてレイチェルの遺体を運ぶ。ルイスの前にパスコーの幽霊が現れる。ルイスはパスコーに「死んですぐなら今度は成功する」と言い、今度はレイチェルを蘇生させようとしていた。パスコーはルイスに「やめろルイス!」と叫ぶもルイスは止まらなかった。

今度はレイチェルを墓地に埋めたルイス。家で血まみれ泥まみれになりながら待つとレイチェルが現れる。彼女の目はえぐり取られており、また額からは脳汁を垂らした醜い姿だったがルイスは笑顔で彼女とキスを交わす。しかしもちろんレイチェルも例外ではなく、残忍で悪魔的な性質になっていた。レイチェルはキスをしながらテーブルにあるナイフを持つ。そしてルイスの絶叫が聞こえ、終幕。

感想・評価

この作品以前から見たいと思っていたのだが、ちょうど公開から30年が経過した2019年初頭に初視聴。
なんで見たかったかというと、ジャスティスリーグでスーパーマンが蘇るも様子がおかしい時に、フラッシュが「ペット・セメタリー?(で蘇生した時みたいにおかしくなっちゃってる?)」という発言をしていたから。そんなホラー映画があるんだなあ、わざわざ引き合いに出されるほどの作品なら知名度が高いのだろうしきっと名作なのだろうなあ、なんて思っていた。

それでいざ見てみればスティーブンキング原作だったし、これは面白そうだと期待を持って、2019年の1月6日の真夜中に見てみたわけだが、シンプルに面白かった
話が分かりやすくてとても良い。死者を生き返らせる地があります→主人公の大事な息子がトラックに轢かれて死にました→復活させました→狂暴な別人でありとんでもない事になりました。っていう。ゲエジ、それにレイチェルが復活してなかなか姿が見えない間はドキドキもの。いったいどんなおぞましい姿に…!?という恐怖。しかし大型トラックに轢かれたゲエジがなぜか綺麗な姿なのはまあ、1989年というひと昔の時代でも子供絡みであまり過激な事はできないという事情がきっとあったんだろうなと。

それであと、これはホラー映画の感想書くたびに書いててバカの一つ覚えみたいになっていると我ながら思うのだがそれでもやはり書かずにはいられない点。音で驚かす事をしていない。なんかホラー映画でこの条件に当てはまっていると無条件で高評価を付けてしまっているような気がしてそれもどうかと思うのだが、それでも評価したいのだ。同じくスティーブンキングの1922が最も印象に残っているのだが、音で驚かす事をしていないということは、つまり他の手法で怖さ、気味悪さを視聴者に与えようと努力しているという事になるので、大体は良作になっているのかもしれない。びっくり箱、お化け屋敷でびっくりするなんて当たり前の話なのだ。この作品はそれをほとんどやっていない。それだけで高評価です。

ストーリーは短い作品概要だけでも大体結末まで予想できるものとなっているが、それでも十分楽しめた。しかし最後の最後までレイチェルまで蘇生させようとするルイスには、おいおい…と思わずにはいられず予想外。ただ、ジャドから過去の悲劇を聞いても、狂暴化したチャーチルを目の当たりにしてもそれでもなお息子や妻を蘇生させようとしてしまうルイスにはあまり共感できるものではなかったかもしれない。

人物解説

ルイス

演:デイル・ミッドキフ
主人公。メイン州の田舎町に妻と子供二人と共に引っ越してきた。職業は医者。トラックに轢かれて死んでしまった息子のゲエジを禁断の地へと埋めてしまう。このゲエジがジャド、そして妻のレイチェルを殺害。ゲイジを相手に重傷を負いながらも薬で倒すが、今度はレイチェルを復活させようとする凶行に及ぶ。蘇生したレイチェルとキスを交わして喜ぶも、レイチェルにナイフで襲われ絶叫したところで物語は終わる。

ジャド

演:フレッド・グウィン
ルイスが引っ越してきた家の向かいに住む老人。ルイスにペット・セメタリーの向こう側にある、死者が蘇る地について教える。しかしそれが悲劇を生むことになったと後悔する。蘇生したゲエジに首を食いちぎられて死亡。ペットは蘇生させるのもまあOK。でも人間はNG!という倫理観持ちで、悪人ではなくとも事件の発端となった人物。自分が言っていた通り、ルイスに墓地の事を教えなければ…。

ゲイジ

演:ミコ・ヒューズ
ルイスの第二子の男児。家族で遊んでいる時、ルイスが目を離した隙に道路に出てしまいトラックに轢かれて死んでしまう。ルイスにより禁断の地に埋められて蘇生する。蘇生後、しばらく顔が映らないためどんなおぞましい顔になっているのかと思いきや綺麗な顔なので多くの視聴者は恐らく「あれっ」となるはず。

チャーチル

演:-
エリーが可愛がっている猫。去勢すれば夜出歩くことは無くなるという事で手術を受けたが車に轢かれて死んでしまう。ジャドの提案で禁断の地に埋められて蘇生するも狂暴になった。

レイチェル

演:デニーズ・クロスビー
ルイスの妻。幼い頃に障害持ちの姉の世話をしており、その存在を疎ましく思っていて、死の際に悲しむどころか喜んだ事に負い目を持っている。ゲイジ死後に実父のいる実家へ行くはずだったが、嫌な予感を覚えたために引き返す。しかしそこで蘇生し狂暴化した我が子ゲイジに殺害される。その後ルイスに蘇生されるも、脳汁が漏れている醜い姿で復活。もちろん狂暴であり、ナイフでルイスを殺そうとしたところで映画は幕を閉じる。

エリー

演:ブレーズ・バーダール
ルイスとレイチェルの第一子の女児。ゲイジの姉。チャーチルを可愛がっている。チャーチルが死んだ後にすぐルイスがチャーチルを蘇らせたために一度死んだ事は知らない。予知夢のようなものを見ており、我が家にふりかかる悲劇を予感し酷く怯えていた。

パスコー

演:ブラッド・グリーンクィスト
ルイスが引っ越してきてすぐにトラック事故にあい死亡した青年。脳みそが出ていて明らかにすでに死んだ状態だったが、それでもルイスが自分の処置をしてくれたという事で恩を感じ、忠告、助言をする。幽霊だがルイスだけには見えている。レイチェルが家に引き返す時も見えないながらもレイチェルを助けてくれた。ルイスがレイチェルを生き返らせようとする時にはやめてくれと嘆き叫ぶもルイスは止まらなかった。ルイスの味方になる理由付けが少々強引で弱いとは思うのだが、良い幽霊なので出てくるとちょっと癒される。脳みそは出てるが。

項目別評価

映画「ペット・セメタリー」評価

話がシンプルで余分なものがない。音で驚かす愚行をしていないのはスティーブンキング原作映画として共通していることが多く、この作品もまたそう。非常に印象に残る作品になった。

凡人の感想・ネタバレ映画>ペット・セメタリー(映画)