1408号室 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>1408号室

執筆日:2018年2月26日

簡単なあらすじ・ネタバレ

主人公マイクは心霊現象が発生する場所へ赴く心霊ルポライター。彼はそんな仕事を生業にしながらも本当に心霊現象になど遭遇したことはなかった。またマイクは幼い娘ケイティを病気で失っており、それ以来自分の妻のリリーとは疎遠になっていた。
マイクの元に「ドルフィン・ホテルの1408号室には入るな」という匿名からの手紙が届く。興味を持ったホテルいつも通り何も恐れることなくその取材へ向かうマイクだったが、ホテルの支配人ジェラルドには「この部屋に入った者は死ぬ。1時間もった者さえいない」と言われ、何度も止められる。それでもマイクは恐れずに問題の1408号室へ宿泊することに。
しかし次々と未知の怪異がマイクに襲い掛かる。ドアを開けようとしても開けられないのでマイクはひたすらに耐えるしかなかった。ケイティとの思い出の幻影や1408号室で死んだ犠牲者たちの幻影に惑わされながらもマイクは強靭な精神力で耐え続ける。死ぬことでしか出られないのだとわかり覚悟を決めたマイクは部屋に火をつける。これにより部屋の外の外界にも影響を与えることができ、消防士によりマイクは救出された。
マイクはリリーと関係を修復して新居へ移った。そこでマイクが1408号室で録音していたレコーダーを再生すると、確かにケイティの声も入っていて、それを聞いたリリーは愕然とし、そんなリリーをマイクは見つめていた。

詳細なあらすじ・ネタバレ

心霊ルポライターのマイク・エンズリンは心霊のウワサのある場所を多数訪れて文章に書き起こし、それを本にして出していた。マイクの本は大ヒットというわけではないがそれなりの売れ行きだった。マイクはそんな仕事をしているが、オカルトは信じていなかった。
また、マイクは娘のケイティを病気で亡くしていたために妻のリリーとは疎遠になっていた。

そんなマイクの元に一通のはがきが届いた。匿名で「ニューヨークのドルフィン・ホテルの1408号室には泊まるな」という内容のものだった。電話して「1408号室に泊まりたい」と言うとただ「その部屋は空いていない」と言われるばかりだった。それでもマイクは次の取材先をここに決めたのだった。

ドルフィンホテルを訪れるとホテルの支配人のジェラルド・オリンという男が応対する。彼は1408号室では何人もが自殺したこと、1時間すら持った人間すらいないこと、10分だけ入った人間も自分で目を潰して失明したこと、など怖ろしい話をしてマイクを脅して、1408号室に泊まるのはやめろと言う。それでも全くオカルトを信じないマイクはジェラルドの忠告も聞かず、泊まることにしてしまう。1408号室のある14階までマイクを見送り、最後まで「1408号室に入るのはやめろ」と言った。

しかしついにマイクは件の1408号室へ入る。一見普通の部屋であり、特に変わった様子はなかった。マイクはレコーダーにレポートを録音しながら取材を開始する。しかしすぐに怪異は起き始める。誰もいないはずなのにベッドの上にチョコが置かれていたり、勝手にラジオが流れ始めたりする。また、異様に室温が高いためにホテルの従業員を呼んで空調を直してもらう。その作業員は部屋に入らず入り口から指示してマイクに空調を直させた。用が済むとすぐに帰っていってしまう。
その後も怪異は起き、手を窓に挟んで手に大怪我してしまったマイク。オカルトを信じていないマイクも考えを改めはじめ、もう降参だと外h出ようとするが、ドアがどうやっても開かなくなってしまい、部屋に閉じ込められてしまったのだった。

マイクは向かいのビルの人間に助けを求めようとするが、その人間はマイクと鏡写しで全く同じ動きする。さらに背後から何者かが襲い掛かって来る幻影も見る。
さらに部屋の様子が変わったり、テレビにリリーとケイティと過ごしているかつての自分が映ったりしてマイクは惑うばかり。「ジェラルドに飲まされた酒に何か入っていた、これは幻覚だから時間が経てば消える」と自分に言い聞かせるマイクだったが、まだまだ怪異は起こり続ける。

マイクは自分のパソコンがあることを思い出し、ネット回線でリリーとコンタクトを取ることに成功する。リリーとは一年間会っていなかったが、リリーはマイクが異常な状況にいることを知ると助けに行くと約束する。しかし部屋のスプリンクラーがなぜか作動し、水をかぶったパソコンは故障してしまう。

その後は部屋の様子がめまぐるしく変わり、極端な低温になったりもする。リリーから再び連絡が入ると「すでに警察は1408号室に行っている。どこにいるの?」とリリーは言う。マイクは自分が現実ではない異次元にいることを自覚する。また、リリーに対して偽物のマイクがリリーに対して助けてくれなどと訴えていた。リリーはそれを信じてしまう。

その後、マイクは気を失い、気が付くと病院で、そばにはリリーがいた。ようやく外へ出ることができたのだと安堵するマイクだったが、リリーに話すとパソコンで話していたことは覚えていなかった。
マイクのそばにはいつの間にか、ホテルの従業員たちがいる。そして彼らはいきなり周囲の壁を壊し始めた。結局、マイクは1408号室から出る事は出来ていなかったのだ。

再び絶望的な1408号室に戻されたマイク。娘のケイティが現れそれを抱きしめるが、ケイティは死んでいて、マイクは泣いて悲しんだ。
マイクはそのうちにこの部屋を出るためには、「チェックアウト」するためには自殺するしかないのだと分かる。だがこの頃になるとマイクは覚悟を決め、呪われた部屋を焼き払う決意をする。酒に火をつけて部屋を火事にするとホテルの警報が鳴り響き、今まで断絶されていた1408号室の外の客たちも逃げ始める。そして1408号室には消防士が入り込み、マイクを救出した。
今度こそマイクは部屋から脱出した。そんなマイクに対してジェラルドは「よくやった」などと言い賞賛していた。

マイクはリリーと仲を修復して新たな住居へと移り住み、2人で暮らしていくことになった。
マイクは1408号室で録音していたレコーダーを再生する。するとなんとマイクとケイティが会話している内容だった。それを聞いたリリーは愕然とする。マイクはそんなリリーを見つめていた。

感想・評価

まず、導入部分が非常に面白いと思った。「あの部屋泊まったら死ぬからやめとけ」といくら支配人のジェラルドが言っても主人公マイクは聞かずに泊まってしまう、という流れだが、ジェラルドがあの部屋で何人死んだだの、1時間持った人間すらいないだのとハードルを上げまくり、渋々承諾しても最後にマイクを見送るシーンでもダメ押しとばかりに「頼むからあの部屋に泊まるのはやめてくれ」と言う。
そんなに?そんなにヤバいのか?しかも幽霊の類ってわけじゃないらしいしどんなだよ?と、視聴者の期待度は天井なしに高まっていってしまう。と書いて思い出したが、「心霊現象ではない」ってのもいい設定だ。「悪霊が出るとかっていう心霊現象ってわけじゃないのに泊まったら死ぬらしい」とジェラルドは脅してくる。これほど視聴者の好奇心と「怖い物見たさ指数」を上げてくる導入もなかなかない。

実際のところ背後から殺人鬼に襲われるような幻覚を見たりと心霊現象と言っても何ら差し支えないような現象がマイクを襲いまくるわけだが、結局、なぜこの1408号室はこれほどの怪異が起きる部屋となっているのか?という根本的な原因はわからないままに終わる。「心霊現象ではない」と言っている時点でその部屋で何か事件があったというわけではないことを暗に示しているわけでもあるが、決行モヤモヤする部分だ。この作品は宗教的、聖書的な要素が強く出ている、と色々なサイトで書いてあるが、確かにその通りなのだと思う。その辺に疎いのでイマイチ話の全体像がつかめない。

そしてこの作品のラストに関しては色々と考察、解釈がなされているようだ。それというのも、マイクが録音したテープに娘ケイティの声が入っているのをリリーが知って愕然とし、そしてリリーをマイクが意味深な表情で見つめる、というところで終わるからだ。これにより、「実はマイクは死んでいて、あれは悪魔が化けた姿か何かだ」というような解釈もなされているようだ。

しかし自分としてはこの解釈には異を唱えたいところだ。根拠としては以下のようなもの。

@について。支配人ジェラルドが部屋に火を放ったマイクに対して「よくやった」などと言うが、そもそもこれは何を意味しているのかはわからない。濃厚なのはジェラルドもいつかあの部屋の呪いに打ち勝つ者が現れるのを期待していた、という見方だが、とにかく「よくやった」と言うからにはマイクは今までの犠牲者とは違い、部屋に打ち勝ったことを意味している。なのに、結局本物のマイクが死んでいたのではそれに矛盾してしまう。メタ的な見方になるが、ジェラルドのこういう台詞を入れた以上、間違いなくマイクは部屋に「打ち勝った」のだ。

Aについて。確かに部屋の中でマイクがPCでリリーとコンタクトを取っている時、偽物のマイクがリリーをだましているような描写はある。だが、この部屋は「マイクの偽物」を生み出し、さらにそれを外に解き放つほどの力を持っているようなものだろうか?姿かたちが同じマイクを世に顕現させてしまう、というのは、流石にこの作品の色には合わない、逸脱したものだと思う。「リリーが1408号室に囚われた」という解釈をすればこのマイクを偽物と解釈できるかもしれないが、これも次で否定する。

Bについて。つまり、リリーは部屋には入っていないのだ。だから部屋の魔力に囚われるいわれがない。ラストシーンのマイクが偽物だとしたらリリーが1408号室の力に取り込まれてしまったと解釈する必要があるが、リリーは部屋には入っていないのだ。1408号室の力は1407号室にも1409号室にも及ばず、律儀にも部屋の中だけにとどまっている。だからリリーが1408号室に呪われる根拠がない。

よって、ラストシーンのマイクは本物であり、意味深な表情は「確かに俺はこういう体験をしたんだよ?信じられるか?」という妻リリーに対する悪戯っぽい表情、ということでしかないと思う。

人物解説

マイク・エンズリン

演:ジョン・キューザック
心霊ルポライターだが全くオカルトを信じていない男。妻のケイティを病気で亡くし、妻のリリーとは疎遠になっている。娘を亡くしたのがニューヨークだったためにニューヨークには近づかなかったが、1408号室の取材のために訪れる。最初は部屋の怪異を信じていなかったが、手を窓に挟まれて大けがをした時点で白旗を上げて外に出ようとする。しかし部屋からは出れなくなっており、ひたすら耐えるしかなくなっていた。一度は外に出られたと思いきや、それも部屋が見せる幻だった。最終的には部屋に火をつけるという強硬策を取り部屋を退治?する。事件後、リリーと共に暮らすように。

ジェラルド・オリン

演:サミュエル・L・ジャクソン
1408号室のあるドルフィン・ホテルの支配人。取材をしたいというマイクに対して最初はやんわりと拒否するが、何を言っても聞かないマイクを結局は1408号室に案内する。部屋の中で幻に惑わされたマイクが冷蔵庫を開けたところでジェラルドの幻も見たりもするが、別にこのジェラルドが黒幕とかいうことではない。しかし部屋に火をつけたマイクをジェラルドが賞賛するシーンもあり意味深。このジェラルドも何か超常の存在である可能性もなきにしもあらず、か?深読みせずに考えれば「誰かがあの部屋に打ち勝つことを期待していた」という可能性もあるか?マイクにはがきを送った人物として一番可能性が高いのはこのジェラルドということにもなると思うのだが、そうするとああまでマイクに警告するのは不自然にも思えるし…。果たして真実は何なのか、謎である。

リリー・エンズリン

演:ジャスミン・ジェシカ・アンソニー
マイクの妻。しかし娘のケイティを失って以来は疎遠に。部屋の中で追い詰められるマイクはオアそこんを使ってリリーに連絡を取ることに成功し、リリーはホテルに駆けつける。最終的にマイクとの関係は修復されて共に暮らすようになるが、そこでマイクが部屋で録音した音声記録を再生すると娘のケイティの声が入っていたので驚く。そこでこの作品は終わるため、「マイクが偽物だ」とか「今度はケイティが1408号室の呪いに囚われてしまった」とかそういう考察もされるのだと思う。しかし自分としては上に書いた通り、これに深い意味はないと思う。

項目別評価

映画「1408号室」評価

ホテル支配人がハードルを上げまくる導入は非常に面白いと思う。後半はいくらなんでも1408号室が必死になりすぎて、怖いどころではなくなってしまう。ストーリーは良く言えば考察の余地があるものだが、悪く言えばちょっと意味不明。

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