ザ・リチュアル いけにえの儀式 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年2月16日

あらすじ・ネタバレ

ルーク、ドム、ハッチ、フィル、ロバートの5人の男性は仲が良く、遊び仲間だった。5人が近々どこか海外へ旅行をしようという話になり、スウェーデンにトレッキングに行くことになった。

5人が解散後、ルークとロバートだけは酒屋に入ってさらに飲もうとすることになる。しかしその酒屋は実は強盗が侵入していた。ロバートは強盗を前に立ち尽くしていたが、ルークだけは棚の陰に隠れた。強盗はロバートに対して金品や結婚指輪を要求するがロバートは反抗する。ロバートがルークに助けを求める視線を送ったがルークは棚に隠れたまま。そして業を煮やした強盗はロバートを刃物で二度斬りつけ、ロバートは死んでしまった。

ロバートを除いたルーク、ドム、ハッチ、フィルの4人はその事件から6ヵ月後に、予定通りスウェーデンにトレッキングに来ていた。ルークはロバートが殺された時の悪夢を見て目を覚ました。その山脈は北欧の神々がハンマーで作ったという逸話がある場所だった。丘の上に登った4人はロバートの写真を石の上に置いて死を悼んだ。

トレッキングを続けるうちにドムは足をくじいてしまう。まだ14時間は歩かないと人がいる場所には出られない。ハッチの提案により、4人は南西を進む森の中を抜けるルートを通ることにするのだった。

森を通っていく4人だが、その途中で異様なものを見つける。内蔵がひきずり出されて吊るされているヘラジカだった。明らかに人間にしかできない仕業だった。

夜になり、雨が降り出す。町に戻ることはできないので仕方なく森で一晩過ごすことにした。この時一同は不気味な模様が書かれた木を発見する。
小屋を見つけてそこで過ごそうとする。小屋の2階には首のない人のような不気味なオブジェがあった。

その小屋で一晩寝て過ごした4人だったが、ルークはロバートが死んだ酒場にいる夢を見た。またルークの胸元には獣の爪痕のような傷痕が遺されていた。ルーク以外の3人もおかしな様子だった。ハッチは小便を漏らし、ドムは妻の名を呼びながら怯えていて、そしてフィルは2階にあるオブジェに全裸で拝んでいた。

朝になったがドムが「森の中を通るなどと言うからこうなる」と言い、オフロードではなく道を進むことにした。しかしドムが捻挫した足のせいで動けなくなってしまう。ルークは丘の上に行って周りを見渡そうとしたが見渡す限りが木ばかりで、抜けられそうもなかった。その時、木々の間に何か巨大なものがいて、獣のような唸り声を上げるのをルークは発見する。3人の元に戻って事情を説明するがドムはルークのことを信じず責める。「ルークがいなかったら今ここにはいない」とドムは言う。つまりルークが見捨てたためにロバートは死んだのだと責めるのだった。ルークはドムに絶交を言い渡す。しかしハッチが仲裁に入り、4人はまた森を進み始めた。

森の中で埋もれたテントと靴を発券する。1984年頃にここを訪れた人物アナ・エリクセンという人物のものだった。
そして再び森から出れないままに日が暮れてしまった。

今度は森の中でテントを張って一夜を過ごすしかなくなった。だが再びおかしな現象が起き始める。ルークはテントから顔を出して外を除くとまたあの酒場の中でロバートが殺される悪夢を見る。また他の3人の様子もおかしくなり、ハッチがどこかに連れていかれてしまった。遠くからハッチの叫び声とあの獣の唸り声が聞こえてきた。助けようとするルークだったが迷ってしまうからとドムとフィルに制止される。
夜が明けた頃にハッチの叫び声が聞こえた方向を探索すると、そこには最初に見たヘラジカと同じように、無惨に腹を引き裂かれて内臓をえぐり出された上に木に吊るされた状態のハッチを見つけた。

自分たちも遭難しかけている状態じゃハッチの遺体をどうすることもできないため、仕方なくその場に置いて3人は再び森を抜けるため歩き出す。ハッチが言ったとおりに南西に進み続けようとルークは二人に言った。
道中、明らかに人の足跡と思われるものもあり、3人以外の人間の何者かも森の中にいることがわかった。

森を進み続けると、ようやく森の終わりが見えてきてルークは「ハッチは正しかった」と喜んだ。しかしドムとフィルの元へ戻るとフィルが何かに襲われていなくなってしまった。またあの獣のような唸り声も聞こえ、今度は眠っていないにもかかわらずルークは酒場の幻覚を見てしまう。隠れていたドムは無事だったがもう死を覚悟しつつあった。しかしルークはドムに「決して見捨てない」と言って励ますのだった。
また正体不明の何かが襲ってくるので逃げ惑ううち、松明で照らされた道、それにフィルの死体を見つけた。道に沿って逃げるルークとドムはそのうちに小屋に辿り着いた。そこで何者に殴られてルークは機を失ってしまった。

目を覚ますとルーク、それにドムは後ろ手に縛られて小屋の中にいた。小屋から外を覗き込むと複数の人々がいた。そのうちの1人の老婆が小屋に入ってきて、ルークとドムをじろじろと見て何かを見定めていた。ドムが連れていかれてしまい、ルークはドムの叫び声を聞いた。連中の1人の若い女性はルークに「いけにえの準備をしている」と説明した。
ドムは無事に戻ってきたが、叫び声からして相当な肉体的苦痛を味わったのは間違いなく、疲弊していた。ドムはルークにいけにえとしてささげられている夢を見ていたと自分が見ていた夢を説明した。そこにはドムの妻のゲイルもいたという。ルークは励まそうとするが、ドムはルークに「ここから逃げろ。全てを燃やして逃げろ」と言った。

いけにえの儀式の準備が終了したらしく、ドムは外に連れていかれて木に括り付けられた。ルークは手枷を外そうとしていた。
森から何かが近づいてきて、人々らは平伏してそれを迎えた。ドムが見たのは妻のゲイルだった。彼女は近づいてきてドムの頬に触れるが、それは本当は獣のような化け物だった。ドムはそれに殺されてしまった。

一方、手の骨を折ることによりルークは手枷を外していた。またあの女性が小屋にやってきたが、まだ拘束されている振りをした。ルークが「あの化け物は何か」と女性に聞くと巨人続ユトゥンという存在で、彼女たち信者はこのユトゥンに生贄を捧げて、代わりに寿命を超えて生かしてもらっているのだと説明した。ユトゥンの信奉者は苦しみも死ぬこともないのだという。そしてルークも崇拝することを許されたのだという。崇拝しないと他の者と同じく木に吊るされてしまうと、女性はルークに忠告した。ルークはなぜ俺なのかと聞くと「苦しみを抱えているから」と女性は答えた。

枷を外したルークが小屋の2階を探索すると、怖ろしげなうめき声が聞こえてきた。その部屋にはミイラのような状態になっている人間のなれの果てのようなものがいくつも並んでいた。ルークはそれに火をつけた。

小屋が炎上するとユトゥンの信者たちが集まってきた。ルークは銃を見つけて武器とした。
ユトゥンも小屋の炎上に気付き、激怒したユトゥンは信者たちを殺し始めてしまう。ルークに事情を話したあの女性も殺されてしまっていた。
ルークは小屋から離れる。そこには炎上した小屋に照らされるユトゥンの姿があった。巨大な鹿のような姿がシルエットとして浮かびあがっていた。それに向けて発砲するとユトゥンはルークを追いかけ始める。

逃げる最中でも、ユトゥンの力なのか、ルークは森の中なのに酒屋の幻覚を見ていた。ユトゥンに追いつかれたルークだったが、ルークが平伏のポーズをすると攻撃をやめる。立ち上がろうとすると押さえつけられて平伏させられてしまうが、ルークは再び立ち上がってユトゥンにオノで攻撃する。そのまま走り続けると森を抜けた。森の外にはユトゥンは出てこないようだった。森の中からルークを見続けるユトゥンだが、ルークは対抗するように大声を張り上げて威嚇した。

朝日が昇り、ルークはボロボロの状態で足をひきずりながら1人帰りの途についた。

感想・評価

「投げっぱなしにせず真相まで描いたブレアウィッチ」というとわかりやすい作品。
かの有名なブレアウィッチプロジェクトは登場人物たちを襲っているのは何者だったのか?というのは一切わからずに終わってしまうが、それに「森に住む人間たちを下僕としている邪神の仕業だった」と答えを提示しているのがこの作品。という感じだ。あ、こういう風に書くとブレアウィッチと何かストーリーが繋がっているような作品に聞こえてしまうかもしれないので断っておくと、一切無いです。

途中まではブレアウィッチと同じように犯人の姿は出ないのか?あるいは4人のうちの誰かが仕組んだことなのか?と思っていたが、ルークとドムが何者かに殴られて拘束されたところからは急に、森に住む邪神の信者、そして邪神そのものも出て来て、一挙に超常的な話に様変わりする。ここから作品の色が一変するので、それまでのギャップにやや戸惑う。こういうのは正体不明だからこそ怖いものなので正体が明らかになると怖さが半減してしまうというのはお約束。だが正体不明のままで終わったらそれこそ、ブレアウィッチまんまになってしまうので、この作品はこれで良いんだろうと思った。
ユトゥンのデザインがまた独創的だ。巨大な四足の獣だが、頭の部分だけは人の形をしているという。メガテンとかに悪魔デザインとして採用しても通じそうだ。

崇められていた神ユトゥンに関しては信者の1人の女性からいくらかの説明はあるが、謎も多い。獣のような姿で人語は話さないが、見た限りでは以下のような特徴が見て取れる。

ルークが小屋の2階で見つけたミイラのようなものはそんな状態なのに生きているので明らかに超常の仕業。そしてそれがルークに燃やされたら激怒して信者を殺しだしたので、ユトゥンは信者のうちからああいうものを作り出して自分への貢ぎ物とかコレクションとかにしていた、という設定だろうか?

そしてあの信者たちは地元民なのか、それとも地元でなくとも別の地から来て信者になったのか?とかの詳細は不明。ルークたちが見つけたテントの持ち主であるアナ・エリクセンはルークに事情を話した女性である可能性も?不老不死はいいとして、あんな森で娯楽なんてあるのかな…とか現実的に考えてしまった。

人物解説

ルーク

主人公。酒屋に入った時ロバートを置いて棚に隠れ、ロバートが殺されるのを黙って観ていた。その半年後にドム、ハッチ、フィルと共にスウェーデンへトレッキングへ。ロバートを見捨ててしまったというのはルークの中で罪悪感として残っているようで、作中で何度も何度もあの日の酒屋のシーンを見る。

ドム

トレッキング中に足をケガした男。メガネ。ルークに「ロバートを見殺しにした」と責めた。トラブルメーカーだが、ロバートのことで一番ルークを怒っているので友達思いでもあるということだろう。生贄にされて死んだが、その際に妻のゲイルの幻を見ている。

ハッチ

4人の中では最も冷静で落ち着きがある常識人。ドムがケガをしたことで森を抜ける近道を行こうと提案した人物。森の中で迷った後にルークに一人で帰れと言った。最初の犠牲者になってしまう。

フィル

全裸で拝んでいた。二番目の犠牲者。4人のうちで特に目立った出番はなく、最も影が薄い。ハッチに続いて2人目の犠牲者となるが、死体も一瞬映されるのみなので扱いが他よりちょっと雑。

ロバート

強盗に殺されたルークたちの友人の1人。一番いい奴だった、とも評されている。罪悪感からか、ルークは何度も悪夢の中でロバートが殺されるシーンを見ることになる。

ゲイル

ドムの妻。ドムが生贄にされた時にこのゲイルの幻覚を見るが、実はそれはユトゥンそのものであり、直後ドムは殺されてしまった。

ユトゥン

現地人が崇める神。北欧神話の神ロキの子孫らしい。信者たちに不老不死を与えるらしいが、自分のミイラコレクション?が燃やされたと見るや怒りに任せて信者たちを殺してしまう。随分短気な性格なようだ。ルークにオノの一撃をもらって追いかけるが、森の外には出られないのか、ルークを見逃した。

ユトゥン信者の女性

唯一会話できる現地人。ルークに事情を説明した。ルークたちは森を移動中に埋まっているテントを見つけて、クレジットカードから「アナ・エリクセン」という人物の持ち物だったことを知るが、この女性がその可能性も?ただし少なくともエンドクレジット中では名は見当たらない。関係ない可能性も高い。

項目別評価

映画「ザ・リチュアル いけにえの儀式」評価

ブレアウィッチプロジェクトとかが好きならオススメだが、ブレアウィッチと違い事件の真相まで描いている。ルークとドムが捕らわれたシーンあたりからは恐怖は薄れてある意味安心してしまい、後は予定調和。

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