トランセンデンス -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2014年12月17日

評論

例によってPSSTOREで新着作品となっていたので見てみた作品。
ここのところ忙しいので更新を怠りそうになりつつあるので無理矢理時間を見つけて書いてみる。

まず、主演がジョニー・デップだったということを知ったのが視聴後だったという。それで、この人の作品って実はパイレーツ・オブ・カリビアンしか見てないということに気付いたのだった。これは恥ずかしい。わりかし地味な顔だよね。

ジョニー・デップ演じるウィルとその妻エヴリンは人工知能開発の権威だが、反テクノロジーを提唱するテログループの手によりウィルは放射線障害となり、死を迎えることになる。だが夫との死別を拒むエヴリンは死の直前でウィルの脳をコンピュータにアップロード、それが成功し、ウィル自体が人工知能となる。そしてそれを夫として疑わないエヴリンは人工知能となった夫を安易にネットに繋いだりしたらウィルは進化をし始めとんでもない力を持つ存在に…。
ものすごくざっくり書くとこんなストーリーだ。ストーリー上の主人公は人ならざる存在になってしまうウィルではなく、その妻のエヴリンということになるだろう。
ウィルは確かに人類の躍進を思っていたし、人工知能となった後でもそれはまた揺らいではいない。しかし、革命的なナノテクノロジーによる治療を施した相手の意識を乗っ取り、ウィルそのものとして行動できてしまうというのは流石に誰もが危機感を抱くところであろう。この芸当を見てからはエヴリンですら疑心を抱き始めることとなり、最終的には、ウィル打倒を計画する元同僚のマックス、恩師のジョセフたちに協力することになる。
そしてついには現世に再生したウィルとともにエヴリンは命尽きる。

この作品、世間一般的に見れば評価は芳しくないが、自分も同じような評価になりそうだ。10点中ならば4か5か、そのあたり。
この作品から読み取れるのは大別すれば「行きすぎたテクノロジー社会への警告」あるいは「深く愛し合う夫婦のラブロマンス」になると思うのだが、どちらにしても中途半端というか、心に響いてくるものがない。前者に関してはそれこそテーマとするには15年遅いんじゃないかと思うし、いや遅いのはいいのだが、深みがないのだ。「人工知能に管理される社会は危険」だとか「人工知能がいくら人間らしく振舞ったとしてもあくまでプログラムでしかない」なんてことは言われなくても分かることだが、それ以上のテーマとしては響いてはこない。だからといって夫婦愛の物語として見ようとしてみてもこれも特筆すべきところは特にない。人工知能と化した夫に対するエヴリンの妄信がやがて疑心へ変わっていき、それでも最後は共に思い合いながら逝くのだが、「はた迷惑な夫婦だな」くらいの感想は出てくるが、これで感動するというのは相当にお花畑な人間だけだろう。というか、ウィルが結局のところ悪だったのかそうでなかったのか、なんかこのあたりがモヤモヤする。「ウィルは人を傷つけはしなかった」というような台詞が終盤にあるのでまあ、彼は一貫して善だった、人類を支配する気などは毛頭なく、ただ人類の繁栄を思っていた、ということになっているのかもしれないが、それにしては危うい部分が多く印象つけられるような演出なので、うやむやにされた感が否めない。
主人公夫婦がどうにも感情移入できるキャラクターではないので、自然と同僚のマックスの活躍に期待していたのだが、可もなく不可もなくの脇役として淡々と役割を果たした、という感じだった。彼はおそらくエヴリンに恋をしていたのだろうけども、そのあたりが物語に何か影響を与えるかというとそうでもなかった。

関係ないが、ジョセフ役のモーガン・フリーマン、この人は本当にジャンル問わずハリウッド映画に出るな、と思った。
ハリウッド映画で一番見かける俳優ってまぎれもなくこの人だ。自分自身、何せジョニー・デップの顔を知らない程度しかハリウッド映画を見ていない人間なのに、3本に1本はこの人を見る気がする。しかも20年くらい前から安定して出続けているのだからすごい。いや、むしろ近年になってますますよく見るようになっているような気がする。ハリウッドにおいては重要な脇役はこの人に任せよう!って意識が横行してるんじゃないかと思えてくる。いや、別にそれに不満はないのだけど、ハリウッド界はまさか俳優の層が薄いというわけでもあるまいに、これだけモーガン・フリーマンを見かけるということには何かしら意味があるのか?と最近は思うようになってきたレベルである。

モーガン・フリーマン

映画の予告PVのワンシーンよりモーガン・フリーマン。
ハリウッド映画って、そうそう脇役がかぶることってないと思うのだが、この人だけ別格。何にでも出てきます。
日本のドラマで言えば…誰だろう。津川雅彦とかかな…。

項目別評価

何が見所かと言われると「何なんだろう…」ってなってしまう。地面を這ったりまでするナノテクノロジー描写がなかなか神秘的ではあるのでその辺だろうか。夫婦愛がツボ、って人もいるかもしれないのでそういう人向けなのかも。

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