ゾンビランド 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2015年7月30日

その他ゾンビ映画の感想

評論

PSSTOREでゾンビ特集とかやってたので目を引き、またその中で図抜けて評価回数が多い(500回超)このゾンビランドを俺は選ぶぜ!ということで視聴した。
ゾンビものは何見たかなー?と思い返してみると、映画版バイオハザードの全作、ドーン・オブ・ザ・デッド、アイアムレジェンド、ワールドウォーZ、くらいだった。新しめ、メジャーどころしか見ていない人間の感想となる。

あらすじ、ストーリー解説。
まず、主人公のコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)の語りから始まる。
彼が述べる事実は、アメリカ合衆国はゾンビウイルスの蔓延によりもはや滅び、「ゾンビランド」と化したことだ。
コロンバスは臆病で陰気な性格であり、元々は引きこもりだったのだが、それゆえの神経質さと用心深さゆえにゾンビランドを生き残り続けていた。彼は自分に「生き残るためのルール」を課しており、それを徹底して遵守していた。

コロンバスは故郷であるオハイオ州コロンバスへと向かっている道中で屈強な男、タラハシー(ウディ・ハレルソン)と出会う。
彼は荒々しいながらも話の分かる人間であったので、コロンバスは彼の車に乗せてもらうことにした。タラハシーは「トゥインキー」というお菓子(クリームの入ったケーキ)を探している男だった。
タラハシーと旅を続けていると、マーケット内で今度はウィチタ(エマ・ストーン)と出会う。彼女は妹のリトル・ロック(アビゲイル・ブレスリン)がゾンビにかまれてしまったので、コロンバスたちが持っている銃でゾンビ化する前に殺してほしいと頼むのだった。タラハシーがリトル・ロックを殺そうとしたとき、「やはり自分がやる」と言い、タラハシーから銃を受け取るウィチタ。だが、ここで様子が一変、彼女はタラハシーとコロンバスを銃で脅し、さらにタラハシーの車を奪って逃走してしまう。この姉妹は詐欺師だったのだ。世界がゾンビで埋め尽くされる前から巧妙な手法で姉妹で金目のものを奪ってきていたのだった。

車も銃も失ったコロンバスとタラハシーは徒歩で移動しつつ新しい車を入手する。
そして再び走っていくと、ウィチタたち姉妹に奪われた車を発見。車体には「HELP」と書かれている。タラハシーがその車の様子を見に行った隙にウィチタがコロンバスたちの車に乗り、またも銃を突きつけられ脅されてしまう。
多少のいざこざはあったものの、ここからは4人で行動することになった。そして、ウィチタからコロンバスの故郷も壊滅であることを聞かされ、コロンバスは故郷への帰還を断念し、そのまま3人と共に旅をすることを選ぶ。

ウィチタとリトル・ロックの姉妹はロサンゼルス郊外の遊園地パシフィック・プレイランドに行くのが目的だという。そこにはゾンビがいないという噂があったのでかすかな望みを込めて姉妹は旅をしていたのだった。
道中、ビバリーヒルズを通った一行はゴースト・バスターズに出演していたビル・マークスの豪邸へと勝手に入り、そこで休息を取ることにした。コロンバスとリトル・ロック、タラハシーとウィチタの2組に分かれて好き勝手やっていると、タラハシーとウィチタの前になんとゾンビの格好をしたビル・マークス(ビル・マークス)が現れる。驚いた二人だったが、ビル・マークスはゾンビ化しておらず、ゾンビの化粧をすることでゾンビたちに襲われないようにしていただけだという。ビル・マークスのファンだったタラハシーは滅茶苦茶にテンションが上がりまくる。そのままビル・マークスは別室にいたコロンバスとリトル・ロックの前にも現れ脅かすが、動転したコロンバスにより射殺されてしまう。即死にはならず、弁解するコロンバスにビルは「自分が悪かった」などと言った。死んだかと思ったらまだ生きていたりするビルを見てウィチタは不謹慎にも笑ってしまう。
ビルの遺体を丁重に処理した後、そのまま豪邸に泊まり続ける一行。ここで、コロンバスはタラハシーが息子を亡くしていたことに気付く。今まで「犬」の話として語っていたのは全て息子との思い出だったのだ。
そしてコロンバスはウィチタとムーディーになるが、タイミング悪くそこにタラハシーが現れてしまったために何も起こらなかった。そして、その次の日、またウィチタとリトル・ロックはコロンバスたちを放っておいて姉妹2人だけでパシフィック・プレイランドへと向かってしまった。

目的地に着いた姉妹。二人は無人の遊園地のアトラクションを楽しむが、その光につられて周囲にゾンビが集まり始めてしまった。ここも安全などではなく、ゾンビが蔓延していたのである。
一方、タラハシーは姉妹など放っておいてメキシコにでも行こうなどと提案していた。しかしコロンバスは2人を追うことを決断。タラハシーと別れを告げ、バイクに乗っていざ、というときにコケてしまい、そんな様子を見たタラハシーもやれやれといった感じで結局コロンバスに付き合うことに。

遊園地のフリーフォールに乗ったままなす術なくなりつつあった姉妹のもとにコロンバスとタラハシーが駆けつける。
ゾンビたちを引きつけ、篭城しつつ大量のゾンビを撃ち殺し続けるタラハシー、オバケ屋敷に入って混乱しつつもゾンビから逃げ回るコロンバス、フリーフォール上で弾切れを起こし、よじ登ってきたゾンビを蹴落とすことしかできなくなったウィチタとリトル・ロック。ここにきて最大のピンチだ。
しかし、タラハシーは囲んできた全てのゾンビを殲滅、コロンバスも、「英雄になろうとしない」という自ら課した掟を破り、苦手なピエロのゾンビも倒しつつ、ウィチタとリトル・ロックを救う。そしてウィチタと抱擁、キスを交わす。
タラハシーは遊園地内の駄菓子コーナーのようなところでトゥインキーを探していたが、ねずみに驚いたコロンバスがトゥインキーの入った箱を撃ちぬいてしまい台無しに。
ここでまたも姉妹が勝手に車を走らせてあわてたコロンバス。しかし、リトル・ロックがどこかで見つけたトゥインキーをタラハシーに投げ付ける。歓喜の表情でそれを食べるタラハシー。
そして最後にコロンバスが語る。「あの姉妹、そしてこの男は自分が求めていた家族となったのだ」と。4人でまた車に乗って走り出し、物語は終わる。

ここから感想。
世界が滅んでいて主要人物4人を除きほぼゾンビ化しているという設定でありながらシリアスさなどほとんどなく、むしろその世界を楽しんでさえいるような4人の珍道中映画といった感じ。
まず何より、ゾンビ映画なのに主要人物(ビル・マークス除く)の誰も死なないのがすげえ!ゾンビ映画なのに!これ最後まで見て本当に驚いたところだ。
最後の遊園地での激戦は、いかにも思わせぶりな演出を行う。スローモーションでちょっと悲しげなBGMをバックに4人の奮闘ぶりが映されるわけだ。籠のような個室に入って篭城して戦うタラハシーなんか「もうこれ絶対死んだわ…」と思わせるところだし、フリーフォールで身動き取れない姉妹ももしかしたら死ぬのか?と思わせる。なのに、終わってしまえばタラハシーは余裕さえ見せてゾンビを殲滅するし、姉妹もコロンバスに救われる。もうこの結末には「生き残るんかーい!」と思わずにはいられない。そしてその後4人は結束を強め、この先どこまでも滅んだ世界、ゾンビランドで生き残っていくのだろうと予感させる、ポジティブな終わり方だ。この結末が本当に良いものだった。もし仮に1人でも死んでしまったら「ああやっぱりそうなるのねはいはい」だったろう。特に、いかにも死にそうなタラハシーすら、コロンバスは最後には「家族」と認識するくらいに親しみを感じて物語が終わるのは本当にすがすがしい。男が女に対して情を持つのは当たり前だからね。荒々しいオッサンすらも、若い姉妹と等しく、信頼に足る家族とすら思えるようになったところで終わる。世界観に反してこの上なく前向きで、胸のすく結末だった。
この作品のこと調べると「ゾンビものとしては物足りない」という評価がうじゃうじゃ出る。それは自分もそう思う。
ゾンビとタイトルにつけときながらゾンビはおまけっぽいものであり、ゾンビ退治や、無人の店、豪邸で好き勝手はしゃぐ人物たちを見て楽しみ、またサバイバルを通して成長する主人公コロンバスの変化を楽しむ映画だろう。しかしこういうゾンビものもいいな!と思わせるものであって、視聴後はとてもいい気分になれた。

にしても、ゴーストバスターズも見たことのない自分はビル・マークスとか出ても「誰?」だったので、その辺は最大限に楽しめなかったので、自分の映画への造詣の浅さを恨んだ。でも、知らない人間からしてもビル・マークスが撃ち殺されてしまうくだり、そこでウィチタがつい笑ってしまう一連のやり取りには声を出して笑った。

項目別評価

ゾンビものなのに主要人物が1人も死なないのかよ!と本当に驚きだったので独自性を高くした。オープニングのスロー演出とか面白かったし、最後の思わせぶりな悲壮な演出とかも「なんちゃって死にませんでした!」という感じで面白かった。キャラクターは息子を亡くして半ばヤケクソな頼れるおっさん、タラハシーがいいキャラだった。このおっさんのせいでトラブルが起きるのだろうとかこのおっさんはまあ死ぬだろう、と予想していたらまさかの全員生存で4人でこれからも陽気にサバイバルだヒャッハー!と、ゾンビだらけで滅亡した世界にも関わらず後腐れなくスカッと終わるのが素晴らしい。ゾンビ部分がおまけであるのでその点だけ問題かもしれないが、実にアメリカ的な能天気さに溢れている、良質なエンタメ作品。

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