凡人の感想・ネタバレ>本>ダンガンロンパ十神(中)
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執筆日:2016年4月17日
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話は上巻ラストで十神白夜の姉の十神忍が絶望高校級を自称する、絶望ハイスクールの面々に囚われた続き。
絶望にそまっているソニア・ネヴァーマインドによれば、白と黒のカラーリングのその建物を1階ずつ昇って最上階で自分を倒して姉を助けろ!という趣旨だったのだろうが、しかし小説の冒頭でいきなり、十神がソニアを足蹴にしているシーンで始まる。十神はその非凡な力を発揮し、全く描写すらなく、左右田和一、鏡佐奈、鏡那緒美、そしてソニアも倒してしまっていた。
そしてソニアに対して本当に自分が世界征服をするという宣言をした十神は、青インク、十神忍が囚われている校長室らしき場所へ。そこで姿の見えない偽物の十神と本物の十神が会話を交わし、偽物の十神が姿を現しそうとしたところで場面は過去へ。
場所は、十鴉城という、岡山県にある城。十神忍が14歳の頃なので、おそらく時間軸は3、4年ほど前に戻っている。
ここでは、前作でも語られた「十神一族最大最悪の事件」の顛末が描かれる。それは全部で15人いる十神家当主が争い、当主の座を勝ち取るための勝負「次期党首決定戦」を行うというもので起こったものだった。
その勝負の方法は十神家の現当主の「十神鬼城」が残したテープレコーダーによって知らせられた。内容は「私の信頼を獲得しろ」というものだった。
だが、その時期当主決定戦とは別に、連続殺人事件が発生したというのが、「十神一族最大最悪の事件」の内容だった。
ここでの語り部は十神忍の弟の「十神和夜」。十神家ではその強さにより序列が決められている。最強は「黄金」、次は「白銀」、最下位が「青銅」。十神和夜は青銅であり、その出生から「偽物」とも呼ばれていた。次期党首候補は15人いるが、全員が同じ母を持つのではなく、例えば「蜜造」と「鷹夜」は義江という女性の子だが、「雄介」と「朝顔」は早耶という女性の子であるというように、バラバラだった。これは十神家当主は世界中に種をばらまくという「特殊な世襲制度」があることに起因しているものだ。そして、この場にいる15人は全部で108人いる十神の次期党首候補のうちで上位の15人であるということだ。この勝負には立会人として十神家の執事のアロシャイス・ペニーワースもおり、「十神忍」も、前作でも登場した超高校級の殺し屋「大槻涼彦」も候補者として呼ばれていた。
そしてその中で馬鹿にされている十神和夜の出生というのはこうだ。口無村という村で住民が「涼彦」に皆殺しにされた。大槻にとってこれが初仕事だったという。ただし3歳ほどの和夜だけが村の中でただ一人生き残った。そこで、涼彦の妹の「忍」が和夜を見つけて、それ以来、和夜は「涼彦」「忍」の弟として、つまり十神家として、血のつながりはないものの生きていくことになった。
十神和夜は性格破綻者であり殺人者でもある涼彦のことは兄と思う感情は希薄だったが、姉の十神忍に対しては強い情を持っていて、姉のためにも次期当主にならなければと強い意思を持っていたのだった。
だが、そのさなかで起きた連続殺人の中、外部から呼び出された七村彗星に、和夜が犯人であると推理されてしまう。七村はダンガンロンパ霧切2に登場した、「ダブルクラスゼロ」の実力者の探偵でありながら、その実、金にしか興味がないという、探偵としては失格の人間。そんな彼が和夜を犯人にしようとしたのも、候補者の一人である「鷹夜」が彼にそうするように大金を出していたからだったのだった。
城の牢に入れられた和夜は不思議な人物と出会う。「件(くだん)」と名乗るその少女は和夜に奇妙な提案をしてきた。「あなたの一番大事なもの、名前を私にくれれば、十神一族の反映の秘密を獲得できる」と。それを承諾した和夜は、和夜という名前を二度と口に出してはいけないと釘を刺され、代わりに「十神白夜」という名前を得ることになった。そしてその少女、件は「すぐにここから出られる」や「白夜の勝利」といったことを予言して消えてしまう。
予言通りすぐに牢から出られた「白夜」。しかし、兄弟を殺されて怒り狂った「二郎」や、三つ子姉妹の「朝」「昼」「夜」といった時期当主候補たちの凶行により、さらなる惨劇が。十神忍は顔や腕に重傷を負い、「四郎」は「夜」に殺されてしまった。
しかし、実は死んだ異母兄弟たちの四人を殺していたのはこの白夜だった。連続殺人の最初の犠牲者である「和介」が和夜を殺そうとしたとき、和夜は何か不思議な力を身に着けた。人体に穴をあけて殺してしまうという超常の力だ。この力で、「朝顔」や「一郎」や「夜」を殺していたのだった。それを重傷を負った姉、忍の前で和夜は告白したのだった。
「白夜」「忍」「涼彦」「鷹夜」の四人のみが生き残った中で、鷹夜は「二人で十神を支配しよう」と涼彦に提案する。が、拒絶される。すると鷹夜は城に火をつけて去ってしまう。忍をかついだ涼彦と和夜は脱出するが、和夜は二人とはぐれてしまった。
意識を取り戻した忍は、焼け落ちた城を見た。周囲には七村の助手としてこの場にやってきていた「ポラリス」という女性だけがいた。そしてそのポラリスはテープレコーダーに向かって何かを言うと、「あなたは十神財閥の次期当主となることを許可します」という電子音が。そしてポラリスは「あなたは誰?」と聞く十神忍に対して、自分の長い金髪をざっくりと切りながら、「十神白夜」だと答えた。この十神白夜こそが本作主役の十神百夜であり、これまで登場していた十神忍の弟の和夜(白夜)は別の人間だったことが明らかになる。
十神白夜は生きる気力を失くしている十神忍に対して「俺の姉として生きろ、俺の伝記を書け」と命令する。こうして白夜と忍は姉弟になった。別の十神白夜(十神和夜)と大槻涼彦は遺体も発見されず、行方不明だった。
そうして時間は現在に戻り、偽十神が姿を現す。その姿は「スーパーダンガンロンパ2」の姿のままなのだろう、十神忍も、白夜本人もその見苦しい太った姿に狼狽する。忍は、この太った十神こそがかつての自分の弟、十神和夜なのだと予想するのだった。
その後、執事のペニーワースの力によりヘリで絶望ハイスクールを脱出したが、上巻で登場した初瀬川研究所の人間である金井妙子や、それに洗脳された祁答院唯香、さらに左右田和一のAIが搭載された空飛ぶ像が敵として襲い掛かってくる。これを撃退するも、ペニーワースだけは安否が分からないまま、ヘリから白夜と忍は脱出した。
辿り着いたのはプラハから東にあるプルゼニという町。地下道が広がるその町で白夜と忍が出会ったのは、十神当主を守る「針の隊」の一員のA54と呼ばれる青年だった。そしてそれに導かれて修道院に進むと、そこには希望ヶ峰学園78期生、セレスティア・ルーデンベルクと山田一二三がいた。この二人は十神に協力するためにチェコまで来たのだという。
この修道院で十神はあることを行う。全世界に対して「あと12時間後に絶望小説をばらまく」という宣言を行ったのだ。絶望小説とは呼んだ者を絶望病に罹患させてしまうという小説。十神はソニアの前で宣言した通り、世界征服を実現させるために、はったりにより全世界を手中に収めようとした。絶望小説の原理などは不明なものの、それは希望ヶ峰学園にいる江ノ島盾子に連絡し、「超高校級の探偵」にそれを調べさせるという手段を取った。宣言の事後とはいえ、本当に絶望小説の原理を解明できれば、それにより本当に世界を手中に、というわけだ。
そんな中、忍はセレスに二人きりになるよう提案される。そこでなんとセレスは自分の姿をはぎ取ると、現れたのは鏡佐奈だった。さらに、山田はあの太った偽十神に、A54は鏡那緒美の姿になった。三人ともが変装し、白夜と忍を騙していたのだった。忍は三人に確保され、そのまま白夜の元へと移動する四人だったが、そこに現れたのは白夜と、本物のセレスと山田だった。十神はセレス、山田の姿に変装していることを見抜いており、セレスと山田は自分たちの姿が利用されることを予想して、本当にチェコにまでやって来ていたのだった。さらに、そこに大神さくらも合流。形勢は逆転する。
だがここで、鏡佐奈、鏡那緒美がさらに自分の皮を剥いで本当の姿を現す。現れたのはスーパーダンガンロンパ2に登場した、希望ヶ峰学園77期生、忍と同級生である、澪田唯吹と田中頑蛇夢だった。この二人も絶望病に罹っているようで、「絶望高校級」を名乗る。そして二人は「鏡佐奈や鏡那緒美や祁答院なんてものはこの世に存在しない」と言う。
十神、セレス、山田、大神、忍ら5人と、偽十神、澪田、田中の3人の対決になるというところで地鳴りが鳴り響く。一時休戦して外に出た8人。外にいたのは絶望妙にかかった民衆であり、8人に襲い掛かってくる。そんな中、一行が江ノ島と通信していた衛星電話が地面に落ちる。そこで江ノ島とは別の人物が一瞬だけ現れ、「十神君、絶望小説に実体は存在しない」とだけ告げたが、そこで電話は壊れてしまった。
そしてそこに現れた人物に忍は驚愕する。それは成長した十神和夜。現在はWHO(世界保健機関)に所属していた。
和夜は8人全員を捕獲し、忍に「いっしょに帰ろう、今度こそ守る。十神の名にかけて」と言ったところで、ダンガンロンパ十神(中)は終了。
前もって断っておくことにするが、前作の評価では(若干無理して)肯定的な感想を書いた自分だけど、正直この(中)に関してはかなり厳しい評価を書く。肯定的な意見が見たいなら別の感想サイトへ行くことをお勧めする。
一言で言えば、狼少年化している嘘だらけの作風にうんざりというのが第一。ざっと思いついただけでもこの作品にはこれだけの嘘というか叙述トリックというか、そういうどんでん返しがある。
主人公が実は…という叙述トリック、ミスリードはダンガンロンパ十神(上)でやってて「またかよ」だったし、ダンガンロンパゼロでも同じような手法を使っている。そして変装キャラを多数登場させるってのは読者を騙すにはあまりに雑で安易な手法だ。そういえばダンガンロンパ霧切にも完璧に変装する達人がいる。なんかダンガンロンパの小説全体に変装キャラいすぎだろう。大体、なんで、偽十神だけじゃなく澪田と田中もそんな完璧な変装術が可能なのか?
そして終盤で唐突に出てきたクロスオーバーの否定。なんか「前作のクロスオーバーが不評だったからこういう流れにしたんじゃないの?」としか思えないようなとってつけたようなもので笑ってしまう。
話はとっちらかってて一貫性がないし、なんかもう、ただただこのダンガンロンパ十神って作品は読者を欺くことだけが目的になっているようにしか思えない。読者を馬鹿にしてるだけの、不出来不快なメタフィクション。別のスピンオフのダンガンロンパ霧切は丁寧かつ正統派の面白さなだけに、奇を衒い、トリビア的なものをこれ見よがしにまき散らしまくるこちらのスピンオフは読むのが不快になってきた。とかく、様々な意味でやりすぎなのだ。
特に、結局のところこの佐藤友哉の自作品とのキャラのクロスオーバーも否定に走ったところ。自分は前作を読んで、「このダンガンロンパ十神ってのは佐藤友哉の自作品とのクロスオーバー作品なんだな、OKわかった覚悟しよう」、なんてある意味腹をくくったのだが、(上)、(中)とがっつり出演させといてのこれだ。なんか過去の自分がバカのようだ。澪田、田中曰く、「祁答院姉弟含め、鏡佐奈と鏡那緒美なんて子もこの世に存在していない」「異次元より召喚されし虚構」とのこと。しかしこれがあまりにも言い訳がましい。どういう理由であれ、自作キャラをダンガンロンパ世界に登場させて活躍させ、気持ちよくなっておきながら、都合よく「嘘でした!」なんてことが許されると思ってるのかこの佐藤とかいう作家は?もう遅いっつーの。キャラゲー色が強い作品にこういうことしておいてファンがどう思うのか、甘くみすぎだとしか言いようがない。
過去編ではいきなりジャンルが推理小説っぽくなっているが、これも、ダンガンロンパ霧切とは比べようがないほど雑である。唐突に「一郎が殺された」「夜が死んでいた」なんて文章が出てきて拍子抜けする上に、しかも真相は謎の超能力パワーで殺してました、だ。ミステリ小説家が本腰入れて描いている正統派推理小説が別のスピンオフとして存在するのに、あえてこんな雑も雑な推理小説パートにする必要、あったか?ダンロン霧切も読んでいれば当然のごとく比べてしまうわけで、そうなると同じ土俵に上がっていいことなんて何もないだろう。この点もなんか想像力欠けてるんじゃないかと思える。
ヘリでの空中戦でもまた金井妙子とか祁答院唯香とか出てきたシーンではもううんざり。覚悟は決めて読むことにしたと上では書いたが、もちろんそれは好意的な意味なんかじゃないのである。はいはいクロスオーバークロスオーバー、って感じで正直流し読み気味だったのは確かだ。祁答院唯香の頭にはタコがついててとかよくわからん設定なのだけど、あまりにも脈絡がないし、これもどうせ元作品からの引用なんだろうと冷めた目で見てしまったのだった。
さらに、これはちょっと指摘するのも遅いし主観も大きいのだが、キャラクターに違和感がある。特に山田。
やたらと「デュフフフフwww」とかネットスラングを発するのだが、ダンガンロンパゲーム一作目やってれば、そんなにずっと草生やしまくってニヤニヤしてるキャラではないってことくらいわからんのだろうか?それに左右田のAI搭載の像の兵器がプラハの像についての蘊蓄を語ったりするシーンもなんか違和感。左右田はよくも悪くも普通の奴なので、そんな蘊蓄たれるキャラな印象はない。このダンロン十神自体、やたらと蘊蓄たれる意識高いっぽいところあるので、それに引っ張られてしまっている。そしてあえて目瞑ってきたが、主人公の十神が一番キャラクターが違うのは明らか。これは主人公だしビシっとしてなきゃおかしいもんわかっててやってるんだろうなーなんて思ってたが、山田や左右田に感じるズレを見るに、もしかしたら素でやってんのだろうか?とも思ってしまった。山田に「キャラぶれするのは二次創作あるあるですな」みたいなことを言わせてるのに自分が陥ってるという笑えない皮肉になっている。十神が原作に忠実だと思ってるからこそ、こんなメタ発言させるんだろうし。
なんかもうああだこうだと書くのも億劫になってきた。
上、中巻まで買ってしまったし、下巻も買うだろう。だが、このダンガンロンパ十神という作品はもう二次創作として生暖かい目で見ることにする。なんか澪田が「これは何もかも嘘の物語」とか不穏なことを言ってたので、ダンガンロンパ十神という作品全体が嘘でしたー!ってぶん投げるオチかもしれない。どういうオチになろうともうあんまり本気になって読めそうにはない。考えてみれば、祁答院やら鏡やら初瀬川研究所やらが虚構だというなら、同じく別作品のキャラである大槻涼彦も、メインキャラとはいえ嘘の存在なのではないか?とも予想できる。そうしてみるともう色々放り投げるオチしか見えないな、本当に…。何にせよ、ダンガンロンパファンでもあんまり見る必要はない、むしろファンだからこそ見る必要ないんじゃないかな、ってのが自分の評価。(下)なんて見るまでもない、ダンガンロンパの黒歴史、それがダンガンロンパ十神、ってことになりそうです。
上のストーリー解説だと色々端折っているので、上巻の感想同様、補足も兼ねて各キャラクターの解説。
今回明らかになったのは、あまりいい家柄の出身ではないということ。そして数年前から一人称もその性格も今と変わらない、傲岸不遜な性格であるということ。いきなり冒頭で絶望高校級の四人を叩きのめしているが、そこは描写されていない。こういう扱いはある意味原作に準じているともいえるのだが…。七村の助手のポラリスとして女装していたり、後半では修道院でシスターの格好をしたりと2回も女装をして、姉にそういう趣味があるのかとひそかに心配される。「くだん」の予言を得て調子に乗った十神和夜と違い、「くだんの力は借りない」と言い切るのは素直に格好いい。また、十神はなんだかんだ言いながらも78期生の仲間たちのことは信頼していると、偽セレスや江ノ島が言及している。
過去篇では十神和夜だが、そうでない場合は上巻に引き続きこの十神忍がこの作品の語り部。過去篇により明らかになったのは、十神和夜という血のつながらない弟がいたこと。そして大槻涼彦は実の兄であること。この涼彦とは肉体関係があったこと。十神一族最大最悪の事件により、候補者の一人、「十神昼」により腕と目に重傷を負って義体になったということ。本物の十神白夜とは数年前に義理の姉弟関係になったということだ。本物の十神白夜とは数年程度の付き合いのはずだが、上巻で十神に対して言っていた「本当は弱い子、優しい子」というのはどういう根拠で言っていたのか…。上巻では明らかに和夜との想い出らしきものが語られていて、そのミスリードを狙ったということになるが、少なくとも本物白夜は「弱い子」ではないよなあ…。上巻と中巻で設定変わったんじゃ?とか勘ぐってしまう部分。大体、出会っていきなり「俺の姉になれ」とか十神が言うのが強引すぎて、無理矢理な辻褄合わせだ。
十神和夜。今回一番尺を取っている過去篇での語り部であり、中巻での主役と言ってもいい人物。次期当主決定戦の舞台である十鴉城で出逢った「くだん」により「十神白夜」と名乗ることになるが、そのくだんの最後の予言の「十神白夜の勝利」というのを自分の勝利だと勘違い、本物の十神白夜に当主の座を取られてしまうことに。最後に登場した時はWHOに属していて、杖をついている。恐らく城が崩れたところで怪我をしての後遺症か。重度のシスコンで、忍を異姓として愛しているらしい。最初の殺人を犯す時にいきなり謎の超能力に目覚め、それで四人の異母兄弟を殺すことになり、それを知った忍は和夜を拒絶した。「和夜」という言葉を口に出してはいけないとくだんに言われるが、出してしまうとどうなるのか?
佐藤友哉の作品「鏡家サーガ」に登場しているキャラで、ダンロン十神において一番でかい顔しているクロスオーバーキャラ。上巻では十神と対峙した状態だったはずだが、瀕死のはずの青葉さとみともども、現実時間では全く登場しない。ていうかもう青葉は死んだということでいんだろうか?過去篇、十神一族最大最悪の事件においては登場する。忍とは実の兄妹関係だが近○相姦関係にあったという無駄にドン引きな設定が追加。その事実は和夜にショックを与えた。今後、このキャラがどう動くのかで展開が決まるような気もする。
まさかのダンガンロンパ霧切からの登場。ダブルクラスゼロの腕利きの探偵だが、金しか頭にない道義欠落者。十神鷹夜から依頼されて十神和夜をはめようとした。裁きも受けないまま、十神家の次期当主候補たちを出し抜いて大金をいただくだけいただいて去るが、末路はダンガンロンパ霧切2巻の通りである。今回の過去篇とダンガンロンパ霧切の時間軸はほとんど同じ(ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生から数年前)と考えられるので、恐らくこの出来事の直後には霧切響子、五月雨結と出会い、ああいう末路を迎えるのだろう。助手のポラリスを放置して去ってしまっているがその辺何も気になっていないのだろうか。まあ時は金なりを体現しまくっている彼の性格上、助手の動向をいちいち把握するなどということは無駄だと切り捨てているだけか。
セレスの愛称で呼ばれる。十神が隠れる場所を提供するということで日本からはるばるチェコへ山田と共にやってきている。修道院を自分のものとしているらしく、それは自分の夢のためらしい。夢というのは、ダンガンロンパ1作目に語った、吸血鬼の変装をさせたイケメン召使いに囲まれて暮らすというもの。その一環ということらしい。
セレスと共にやってきたが、セレスと違って特に何の役にも立っていない。やたらとネットスラング連呼、その上十神の女装に食いつくが、すでに書いたようになんかキャラが違う気がしてならない。
「探偵に絶望小説のことを調べさせろ」という十神の命令を受け、確かにその通りに動いたらしい。終盤、衛星電話のモニター越しに「本物の十神と偽物の十神の違いは仲間を信じたことじゃないの?」というような、正体を知っていればものっすごい白々しい台詞を吐く。
十神が絶望小説を調べさせた探偵、作中で名前を明確にはされないが間違いなくこの人。上巻では江ノ島の言葉の上でしか登場しなかったが、今回は終盤、衛星電話で一瞬だけ姿を見せ、十神に「絶望小説は実体がないものである」ということを伝えた。このダンロン十神は開始から1日も経っていないわけで、冷静に考えるとどんだけ調査が早いんだよと思わんでもない。上巻で十神に残した「過去を思い出して」というメッセージがどういう意味を持つのかも未だ不明。
出番はほぼないが、十神が修道院であちこち指示を出している時、チェコに入国だけしたということだけわかる。まさか下巻では登場するだろう。
出番はほとんどないが一応登場。上巻では地雷原に囲まれた状態のままでその後が分からなかったが、地雷原を突破する術も持っていたらしい。最後には十神和夜たちに十神たちは捕らえられることになったが、そういえばこの人がいればどうにかなるんじゃ?
この作品だけで三人も「十神白夜」が登場するが、これは2でおなじみの太い十神。やっぱりその太さのせいで出てきた瞬間に本物十神にも忍にもかなりの勢いで驚かれている。妙に落ち着き払っているダンロン十神の十神がかつてないほどに狼狽するくらい。
(絶望)超高校級の軽音部員。希望ヶ峰学園77期生。セレスおよび鏡佐奈に化けていて、「鏡佐奈と鏡那緒美なんてのは存在しないっす!」と言う。まあ77期生は全員絶望落ちとみていいから登場は驚かないけど、どうやって変装してた?そんな芸当が簡単にできるってのなら、「超高校級の詐欺師」である偽物十神の立場がなくなると思うのだが。
(絶望)超高校級の飼育員。2のキャラの中でもひときわ印象に残るであろうキャラ。だから鏡那緒美にはどうやって変装を…。しかもA54→鏡那緒美→田中、というように二重の変装だ。マジでどうやってるのか。本人と見た目で全く見分けがつかない変装ができるキャラが何人もいていいのなら、さぞ物語の展開考えるのも楽だろう。こういうことやってると、全ての登場人物に対して疑心暗鬼になってしまって単純に面白くなくなってしまうのが残念。
十神当主の手足として動く私設部隊の「針の隊」という部隊の一員の青年。鏡那緒美(田中)が化けていた。
絶対絶望少女で名前や姿は出ていたが、本格的に登場したのは何気に今回初の、十神家に忠実な執事。名前の元ネタはバットマンに登場する執事アルフレッド・ペニーワース、サンダーバードに登場する執事、アロイシャス・パーカーだろう。サンダーバードは知らず、バットマンは一応知っているが、性格はまさにあのままなイメージ。冷静な態度は決して崩さず、例え当主の十神に対しても皮肉を言ったり、ショットガンをぶっ放して左右田のAI搭載の像を破壊したりととただ物ではない爺さん。良く言えば安心感のある、悪く言えばコッテコテの執事キャラ。大神さくらの特別な人間であるケンイチロウにも言えることだと思うのだが、こういうただ物じゃない人が塔和シティに囚われていたってのは結構違和感のある部分だと思う。
本作の鍵となる、十神一族繁栄の秘密。見た目は少女だが、何か超常的な存在らしい。というか、以前調べたところだとこれも「鏡家サーガ」に登場するらしいです…。そっちを知らない人間にとっては、「正体不明、神出鬼没の何か凄い預言者」くらいに思っておけばいい、のだと思う。多分。和夜の名前を奪った代わりに予言を授けるが、このくだんの予言を聞いた和夜は自惚れ、そのせいか結果として真の十神白夜が当主になった。
過去篇で登場する十神家次期当主の候補者たちは数は多いが白夜、和夜、涼彦、忍除き全て死ぬし、さほど重要な人物はいないので一挙に紹介する。まとめていくと、十神昼だけ序列が明らかでないものの、三つ子の他の二人が青銅なので恐らく青銅だろう。
名前 | 年齢 | 序列 | 母親 | 性格・性質 | 末路 |
一郎 | 23 | 白銀 | 舞奈 | 元「超高校級の外科医」 | 和夜を殺人犯だと疑い、超能力で殺害される、死に際に「夜」というダイイングメッセージ |
---|---|---|---|---|---|
二郎 | 18 | 白銀 | 〃 | 超高校級の空手家 | 一郎が死んだ後に狂乱したところを涼彦にナイフで殺害 |
三郎 | 15 | 青銅 | 〃 | アイドルオタク | ただ一人ずっと部屋に引きこもり、十鴉城が焼け落ちた時に焼死 |
四郎 | 14 | 白銀 | 〃 | 音楽家になりたかった、比較的常識人、十神当主には本当は興味がない | 和夜と話していたところに突如出てきた十神朝にナイフで殺害、相打ち |
蜜造 | 27 | 青銅 | 義江 | おどおどした小心者 | 首を釣って自殺(と見せかけて実は鷹夜が殺害) |
鷹夜 | 14 | 黄金 | 〃 | 超中学生級のアジテーター、唯一の黄金序列、候補者全員殺害をもくろむ | 自分で火をつけた十鴉城が焼け落ちた後、ナイフの傷だらけの焼死体で発見される(直接的な描写はないがおそらく涼彦が殺害した) |
雄介 | 31 | 青銅 | 早耶 | 元超高校級の美食家、朝顔の遺書(告発書)を盗んだ | 和夜を脅迫して金を要求したが、和夜に超能力で殺害 |
朝顔 | 28 | 青銅 | 〃 | ムードメーカー | 和介が和夜に殺害されたのを目撃し、その後自殺 |
和介 | 22 | 青銅 | ルルド | 人を殺すことで現当主に認められると思い込み和夜を殺そうとする | 和夜に逆に超能力で殺されてしまう |
絵雄美 | 19 | 青銅 | 哉子 | ポーカーフェイスの女性 | 狂乱した二郎に首を掻っ切られて死亡 |
朝 | 16 | 青銅 | アナスタシア | 夜の偽装により他の者には人形だと思われていたが、本当に存在した三つ子の一人 | 不意打ちで四郎を殺そうとして相打ち |
昼 | 16 | 青銅? | 〃 | ひっそりと隠れていた三つ子の三人目 | 和夜を殺そうとして逆に殺される |
夜 | 16 | 青銅 | 〃 | 偽装を行って自分ら三つ子の存在を隠そうとした「超高校級の気象予報士」 | 和夜に忍と涼彦の肉体関係を話し、逆上した和夜の超能力で首を斬られて死亡 |
涼彦 | 26 | 白銀 | 道子 | 元超高校級の殺し屋、忍と肉体関係、超高校級の空手家の二郎よりも強い | - |
忍 | 14 | 青銅 | 〃 | 涼彦の実の妹、口無村で唯一生存した和夜を見つけて以来和夜は弟に、十神一族最大最悪の事件の後、白夜の姉になる | - |
和夜(白夜) | 13 | 青銅 | 〃 | 口無村唯一の生存者、謎の超能力を持つ、「くだん」と出会い、和夜という名前を捨てて白夜の名を得る | - |
白夜 | ? | 青銅 | ? | 真の十神白夜。いい家柄の出身ではなく序列は青銅、七村の助手のポラリスに変装、他の者を出し抜き次期当主となる | - |
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