ドクター・ストレンジ -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>ドクター・ストレンジ

執筆日:2018年5月09日

簡単なあらすじ・ネタバレ

主人公のスティーブン・ストレンジは凄腕の外科医。しかし性格は傲慢で、同僚のパーマーにそれを諫められることもあった。ある時、車の運転中に患者の情報を見てよそ見運転をしていたところ大事故を起こしてしまう。そして両手の神経を深く損傷し、指を自由に動かすことができなくなってしまう。

パングボーンという男性が全身不随状態から復帰したのはネパールにあるカマー・タージという場所で修業をしたからだと知ったストレンジはそこへ向かう。
そこはストレンジが全く知らない魔術を教える場所だった。エンシェント・ワンという女性がそこのマスターであり、彼女やその教え子のモルドから教えられストレンジはみるみるうちに魔術の技術を吸収していく。

エンシェント・ワンのかつての教え子であるカエシリウスは邪悪な心を持ち、ドルマムゥという暗黒世界の生命体のエネルギーを復活させて永遠の命を得ようとしていた。
ドルマムゥの侵略はニューヨーク、ネパール、ロンドン、香港といった主要都市にある結界により守られており、魔術師らはこれらを守護する役割を担っていたのだった。

だがカエシリウスとその仲間たちの企みにより各地は陥落し、エンシェント・ワンは死に、ついにドルマムゥは復活してしまう。しかし時間を巻き戻す禁術を使ってストレンジはドルマムゥを無限のループの中に抑え込み、解放してほしけばカエシリウスたちを地球から追放し地球から手を引けと交渉する。ドルマムゥはやむなくこれに従い、危機は去った。

しかしモルドは暗黒世界の力を利用することは必ず代償を払うことになるとストレンジに忠告し、別の道を進むと言ってストレンジの元を去ってしまう。そして彼は「魔術師が多すぎることが問題だ」という信念のもと、パングボーンから魔術を奪ってしまい、不吉な予感をにおわせたところで今作は終了する。

詳細なあらすじ・ネタバレ

冒頭、どこかの書庫に怪しげな人物数人が現れた。
彼らは書庫の番をしていた人物を首をはねて殺害し、リーダー格の男は本から1ページを破いて持ち去ろうとする。
しかし現れた人物(女性らしいが顔はフードに覆われて見えない)が彼らを追いかける。女性は不思議な術を使ってビルの外壁を摩訶不思議に動かしたり、世界を回転させるなどして男たちを苦しめる。しかし男らもまた不思議な魔術で対抗、最後には魔術のゲートを生み出して逃げ出してしまったのだった。

主人公のスティーブン・ストレンジは外科医として卓越した技術を持っており、困難な手術もこなしていた。しかし性格は自惚れが強く傲慢で、同僚のパーマーから忠告されることもあった。
スティーブンは金も名誉も持っていたが、ある学術発表会へと向かう途中の山道で大事故を起こしてしまう。

リハビリは行うものの、手の神経が修復不能なくらいにズタズタになってしまい、もう二度と手を自由に動かすことは出来なくなってしまったスティーブン。そのストレスから心配してくれるパーマーにも無神経な言葉を投げつけ、パーマーからも見放されてしまう。

スティーブンはパングボーンという男性が同じような障碍から回復したということを効き、彼に話を聞く。パングボーンはバスケをするほどに健常だった。そして「カマー・タージ」という場所が自分を救ったということをスティーブンに教えるのだった。

カマー・タージというのはネパールにある場所だった。目立たない場所にあるためになかなか見つからず、強盗にも囲まれて窮地に陥るが、カマー・タージに所属する男モルドに救われてカマー・タージに案内される。
カマー・タージに辿り着いたスティーブン。そこで長であるエンシェント・ワンとという女性と出会った。
エンシェント・ワンが言う話はスティーブンが全く知らないものでスティーブンは来たのは無駄だったと落胆したが、エンシェント・ワンの力で幽体離脱のような現象を体験した。そしてこの世にはアストラル・ディメンションやダーク・ディメンションというような別次元が存在することを知った。カマー・タージで修業した者はこれらの力を扱う「魔術師」となって力を振るうことができる。魔術師たちはスリング・リングというリングを身に着けることでゲートを開き、任意の場所へと瞬間移動することもできる。エンシェント・ワンはその中でも最高位の「至高の魔術師」と呼ばれる存在だった。
スティーブンは自分を弟子にしてほしいと頼むが、エンシェント・ワンはスティーブンは野心があるために、悪に落ちたかつての弟子カエシリウスのようになることを危惧したために追い出した。カエシリウスは冒頭のシーンで書庫からページを盗み、エンシェント・ワンと戦った男だ。しかしモルドはスティーブンの力が必要になるかもしれないと説得。スティーブンはカマー・タージに住み込み魔術の修行をするようになった。

魔術の修行は厳しかったが、スティーブンは医者としてだけでなく魔術の才能もあり、短時間で頭角を現していくのだった。
スティーブンはカマー・タージの書庫から本を借りて学んでいた。書庫にはエンシェント・ワンの秘蔵本もあった。書庫の番人であるウォンは堅物であり、本を盗んではならないとスティーブンに念を押すのだった。
しかしスティーブンは知識欲を抑えられなかった。アガモットの目という首飾りの力を借りることで使える時間戻しの秘術を使ったところをモルドとウォンに見つかり止められた。この術は禁断のものであり、使い方を間違えれば時間の無限ループにはまり込んで出てこれなくなる可能性もあるということを教えられた。

そしてモルドとウォンは魔術師たちの真の役目をスティーブンに教える。それは別次元世界の侵略から地球を守ることであり、ロンドン、ニューヨーク、香港の三か所に存在するサンクタムと呼ばれる魔方陣を守護することだった。そしてダーク・ディメンションと呼ばれる次元にはドルマムゥというエネルギー体が存在し、これに侵略されれば地球は存亡の危機に陥ってしまう。しかし悪の道を進んでしまったカエシリウスはサンクタムを全て破壊してドルマムゥを呼び出そうとしているのだった。

そんな時、そのカエシリウスがカマー・タージを襲撃する。カマー・タージには世界各地に繋がるゲートがあったが、混乱の中でスティーブンは一人魔術師たちのニューヨークの支部へのゲートに入ってしまった。
ニューヨーク支部を任せられた人物はカエシリウスに殺されてしまい、スティーブンは一人でカエシリウスとその仲間2人と戦い始める。
ニューヨーク支部にあった浮遊マントを装着してパワーアップしたスティーブンはなんとか勝利を収め、カエシリウスを拘束した。そしてカエシリウスの真意を聞く。カエシリウスが言うには「全てのものを縛るのは時間。ダーク・ディメンションに住まうドルマムゥは時間を超越しており、人間に不死を与えてくれる」と言った。カエシリウスはかつて愛する人間を失くしており、それ以来ドルマムゥの力を求めるようになってしまっていたのだった。

話を聞いた後にカエシリウスの仲間に不意を突かれて心臓を損傷してしまったスティーブン。命からがら逃げ出してゲートでパーマーのいる病院へと移動。そしてパーマーに自分の手術を頼んだのだった。
スティーブンの肉体は手術を受けていたが、スティーブンはアストラル体のままでカエシリウスの仲間の1人と戦い勝利する。しかしその敵は死んでしまう。やむなくとはいえ人を殺してしまったことに医者だったスティーブンはショックを受けた。

ニューヨーク支部へ戻ったスティーブンを待っていたのはエンシェント・ワンとモルドだった。ニューヨークを任せるとエンシェント・ワンは言うが、スティーブンはエンシェント・ワンもカエシリウスたちと同様にダーク・ディメンションの力を借りているのではないかと怪しむようになっていた。モルドはそんな疑いをかけるのは失礼だとスティーブンを諫める。

そんな時、再度ニューヨーク支部にカエシリウスたちが攻め込んでくる。今度は建物の外で戦うが、カエシリウスの力は強大で、周囲のビルなどを豪快に動かす力を使ってスティーブンとモルドを翻弄する。エンシェント・ワンもカエシリウスと戦うが、スティーブンが考えていた通り彼女はダーク・ディメンションの力を使っていることが明らかになった。彼女を信じていたモルドは失望する。そのエンシェント・ワンもカエシリウスとの戦いでついには敗北し、高所から落下してしまう。

再びパーマーの病院へと行きエンシェント・ワンの手術を行う。
瀕死のエンシェント・ワンとアストラル体のまま会話をする。ここで自分が死ぬのは運命であることや、ダーク・ディメンションの力を使うのも致し方なかったとスティーブンへ説明するエンシェント・ワン。スティーブンとモルドはそれぞれ足りない部分を補い合える存在だからこれから力を合わせていくようにすることや、スティーブンに足りないのは「他者のために行動すること」だとも言った。そういった言葉をスティーブンに遺した後ついに命は尽き、エンシェント・ワンは死んでしまうのだった。

スティーブンは彼女が死んだことをモルドに伝えるが、モルドは信じていたエンシェント・ワンが禁断の力を使っていたことを知りショックを受けていた。すでにサンクタムのうちニューヨークとロンドンのものは陥落してしまったため、残りの香港のものを守るためにゲートを開いて瞬間移動する二人。

香港支部ではウォンが守っていたが、すでにカエシリウスたちに敗北してしまっており、香港も陥落していた。そしてダーク・ディメンションの力があふれ出し、今まさにドルマムゥが降臨しようとしていた。
すでに手遅れだったが、スティーブンは禁断の時戻しの力を使ってドルマムゥが復活する前まで時間を戻そうとする。時間が逆回りする香港の町中でカエシリウスたちと戦い始めるスティーブンとモルド。だがカエシリウスの力により時戻りの力も止められてしまう。

だがここで突然スティーブンはあふれ出すダーク・ディメンションの中へと入り、ドルマムゥと対面する。ドルマムゥの力は強大だったが、スティーブンは時戻りの術の副作用である無限ループ状態をわざと作り出し、ドルマムゥが延々とスティーブンを殺し続ける状態を生み出した。スティーブンが解除しない限りこの状態は続き、ドルマムゥが自力で脱出することは不可能になってしまう。そしてスティーブンは「無限ループを解除してやるから地球から手を引き、カエシリウスたちも追放しろ」と交渉する。やむなくドルマムゥはこれに同意するのだった。こうしてドルマムゥは姿を消し、カエシリウスとその仲間たちはそれに巻き込まれて姿を消した。

脅威は去ったが、禁断の術を使ってドルマムゥと交渉したスティーブンを危険視したモルド。彼は「いずれ必ず代償を払うことになる」とスティーブンに警告し、違う道を歩むと宣言して去っていってしまったのだった。

そしてモルドはパングボーンの前に姿を現す。モルドは「魔術師が多すぎるのが問題だ」と言ってパングボーンの魔術を奪ってしまう。魔術で体を動かしていたパングボーンは再び全身不随状態になってしまうのだった。

エンドロール後ではスティーブンがマイティ・ソーシリーズの主人公であるソーと会話しているシーン。スティーブンはニューヨーク支部を守るようになっていた。魔術師は別次元の侵略から地球を守るのが役目であるが、ソーは危険人物である弟のロキもニューヨークに連れてきていたので、スティーブンはそれを危惧していた。スティーブンはソーに自分たちの世界であるアスガルドに戻るように促す。ソーは父親のオーディンを探していたので、地球から去ってくれるならば協力しようとソーに言ったところで終幕。

感想・評価

作中での台詞に「アベンジャーズたちは物理的な脅威から地球を守るが魔術師たちはそれとは別の世界を守る」というようなセリフがあるが、まさにその通りで、このドクター・ストレンジでは魔術師たちが異次元空間のような場所を生み出して戦うという点が他のマーベル作品とは一線を画している。脳が混乱するような幾何学的、四次元的な映像は圧巻。視覚的に単純に面白い、という点でアントマンなどと同じような原始的な面白さがある。そのため深く考えないで楽しめるエンタメ性があり、深く考えずとも良い作品。こういうふんだんに手間と金をかけて作った映像で楽しませるというスタンスは実にハリウッド的で好きです。

序盤のネパールでの修行風景は「マトリックス」を彷彿とさせるものだが、どうやらまさにそれを意識したものだとか。オリエンタルな風景で白人男性が四苦八苦して修行する、という図はマトリックスでもなかなかギャップがあって印象深いが、今作も同様だ。雪山に取り残されるとかいう無茶振りには笑った。

特に面白いのは香港での決戦での演出。
ここではスティーブンが時間戻りの術を行ったために全てが逆戻っていくのだが、スティーブン、カエシリウスたちだけは普通に動いて互いに戦っている。逆走してくる車などを回避しながら戦うという絵面は斬新だった。

ラストでソーが登場するが、これはマイティ・ソー三作目「マイティ・ソー バトルロイヤル」とリンクするシーンなようで、そちらを視聴しないとどうなるのか不明だ。もうマーベル・シネマティック・ユニバースも20作近くにもなっているが、つくづく追うのが大変だ…。今まさに劇場で「アベンジャーズ インフィニティウォー」も公開されているが、これを楽しむためにもこのソー作品最新作も見ておきたい。

人物解説

スティーブン・ストレンジ

演:ベネディクト・カンバーバッチ
凄腕の外科医で大金持ちだが、それゆえに傲慢。高級車を飛ばしている最中によそ見したせいで大事故を起こし、九死に一生を得るも外科医の命である両手の神経がズタズタになる。絶望したがパングボーンという男性が絶対に復帰不能な状態から五体満足になるまで回復したことを知り、パングボーンからネパールにあるカマー・タージの話を聞く。カマー・タージでエンシェント・ワンに出会って魔術の修行を積む。魔術にも才能があり短期間でモルドなどに並ぶ熟練の魔術師に。ミスター・ストレンジではなくドクター・ストレンジと呼ぶことを周囲に強調する。エンシェント・ワンからは「善い心を持っている」と評されたが、自分が永遠に殺される覚悟でドルマムゥと交渉するシーンは実にヒーロー的。

クリスティーン・パーマー

演:レイチェル・マクアダムス
スティーブンの同僚の女性医者。ヒロイン。スティーブンを気にかけているが、傲慢なところは直すべきと忠告していた。スティーブンがカマー・タージから戻ってきて不可解な魔術を見せたので驚くも、割と適応力はあり、幽霊のようにも見えるアストラル体のスティーブンを見てもすぐ慣れた。

モルド

演:キウェテル・イジョフォー
エンシェント・ワンの弟子で側近。エンシェント・ワンを敬っていたが、潔癖症であり、実はエンシェント・ワンが暗黒世界の力を使っていたことを知ってショックを受ける。スティーブンが禁術の時間巻き戻しを使ってドルマムゥと交渉したことにも同様に危機感を持っており、スティーブンとは袂を分かった。ラストシーンではパングボーンの魔術を奪い、「世の中には魔術師が多すぎる」と言った。恐らく今後はスティーブンの敵役となりそうだが、悪というわけでもないだろうから立ち位置は色々難しいところに落ち着きそう。

エンシェント・ワン

演:ティルダ・スウィントン
ネパールにあるカマー・タージでスティーブンが出会った「至高の魔術師」。冒頭でカエシリウスらと闘うシーンではその強大な力を見せつけるが、その時は顔は見えない。スティーブンの弟子入りを一旦は断るも、モルドの進言により考えを改めてスティーブンに魔術を授ける。実はカエシリウスと同様にドルマムゥの力を借りて不老の力を得ていたが、それはやむを得なかったことだとスティーブンには弁解していた。しかしこれは弟子であるモルドの離反を生んでしまった。カエシリウスとの戦いで高所から落下し、手術も空しく死亡。

カエシリウス

演:マッツ・ミケルセン
元々はエンシェント・ワンの弟子だったが、愛する人間を失ってからはドルマムゥの力を借りて永遠の命を得ることに執心する。時間こそが全てを縛る悪しきものだとし、時間の概念がないドルマムゥを崇拝する。魔術師たちが守る結界を破壊してドルマムゥを地球に召還することが目的。最後には望み通り永遠の命を得たようだが、ドルマムゥの力で地球から追放されてしまった。

ドルマムゥ

ダーク・ディメンションという時間の概念がない世界に住まうエネルギー体。カエシリウスはダーク・ディメンションの力を借りていたが、実はエンシェント・ワンもこの力を使っていた。時間の概念がない世界の存在がゆえ、スティーブンが生み出した時間の無限ループに戸惑い、ループから抜け出せないことを知りやむなくスティーブンの交渉に応じる。その交渉とは「ループを解除する代わりに地球から去り、カエシリウスらも追放しろ」というものだった。

ウォン

演:ベネディクト・ウォン
魔術師たちのネパール拠点の書庫の番人。強面で笑いもしない。香港ではたった一人でカエシリウスたちと戦ったが敗北。しかしスティーブンにより時間巻き戻しの術により蘇生させられた。「注意書きは読んでおかないのがまずかったな」というジョークをスティーブンがカエシリウスたちに対して飛ばした時爆笑した。モルドが去った後はスティーブンの友人、仲間として重要なポジションとなるであろう人物。

パングボーン

演:ベンジャミン・ブラット
事故で体が自由に動かなくなってしまったが奇跡の回復をした男性。スティーブンはこのパングボーンからカマー・タージの話を聞いた。身体を動かしているのは魔術によるもの。ラストシーンでモルドから魔術を奪われてしまい、再び体が全く動かなくなってしまった。

項目別評価

映画「ドクター・ストレンジ」評価

流石のマーベル作品、安定した面白さ。脳が混乱するような異次元の映像は圧巻。視覚的な面白さというのは原始的だが、それゆえに万人受けの面白さがある。ドクター・ストレンジ自体が他のアベンジャーズとは独立した重要な立ち位置にいるので、マーベル作品を追うのであれば外せない。

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