フッテージ デス・スパイラル -凡人の感想・ネタバレ-

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執筆日:2018年5月20日

簡単なあらすじ・ネタバレ

前作フッテージから数年後。前作主人公エリソンを手伝った副保安官のウォルトはエリソンたち一家を助けられなかったことで苦悩していた。
どこかでまたブグールによる犠牲者が起きているため、それを止めるために行動しようとする。

コートニーディランザックという双子の兄弟を母親一人で育てていた。ひどいDV父親であるクリントから逃れるために一時的に家から離れていたのだが、その家が実は以前、悪魔ブグールによる一家惨殺事件が起きた家だった。

ウォルトはその家を訪れたが、誰かが住んでいるとは予想外だった。ブグールは「惨殺事件が起きた家に住んだ者が引っ越した時に、子供を操って次の惨殺事件を起こす」性質があるため、すでにコートニーら一家はブグールに囚われてしまったことになる。

この家にはやはりフッテージ、フィルムがあった。ディランとザックはすでにブグールによって操られて惨殺事件を起こしたマイロをはじめとした子供たちの霊に魅入られていて、特に気に入られたディランは夜中にこれらと共に鑑賞会を開いていた。ディランよりも自分が強いと主張するザックは子供の霊たちに「なぜディランなんだ」と言って嫉妬していた。

ウォルトはコートニーに「絶対にこの家を出ていくな」と忠告し、ブグールに関しての秘密を調査しに行くが、その間に、クリントが弁護士と共にやってきて強引に連れ出していってしまうのだった。

家を出ていったら事件が起こるという法則が発動してしまい、マイロたち子供の霊はザックに一家惨殺事件を起こさせようとする。
草原でコートニー、ディラン、クリントを縛り上げて拘束して焼殺しようとするザックだが、ウォルトが間一髪止めに入る。4人はザックやマイロたちから逃げ回り、どさくさの中で家に火がつく。失敗したザックをブグールは許さず、ザックをしもべとして、マイロたちと同じように自分の世界に取り込んでしまった。

家も焼け落ちて全ては終わったかに思えたが、利用していたモーテルに戻ったウォルトが焼却されたはずの録音機器を発見。そこからザックの声らしきもの聴き驚愕。直後、目の前にブグールが現れる。これが結末。

詳細なあらすじ・ネタバレ

冒頭、一家が草原で十字架にくくりつけられて拘束された状態で焼き殺されるシーン。
それはある男児が悪夢として見た映像だった。その男児が夜中にふと目を覚ますと何かの気配がする。恐る恐る布団から顔を出した時、背後から子供の霊が現れ男児は絶叫するのだった。

ウォルトという男が教会に懺悔に来ていた。
彼は前作フッテージの主人公である作家のエリソン・オズワルトに協力していた町の副保安官だった男性。オズワルト一家が悪魔ブグールの手により全滅した事件は「オズワルト事件」として世間に知られていた。しかしそれが悪魔の仕業だと知っているのはウォルトのみ。ウォルトは神父に「またどこかで犠牲者が出続けている」と話すと神父は「悪魔に対して出来ることなどない。身を守るしかない」と言い、もう関わらないようにアドバイスしたのだった。

町のスーパーではコートニーという女性、それにその双子の兄弟のディランザック男児らが買い物をしていた。ディランは冒頭で悪夢を見ていた男児。コートニーはスーパー内にあやしげな男性を見つけると息子二人と共に逃げるようにモールを去った。男は「彼女だった」と誰かに連絡していた。

ウォルトは神父に警告はされたものの、見過ごすことはできないと考えており、ブグールによる惨殺事件が起きた家を調べていた。実はオズワルト事件の後、オズワルト家が住んでいた家は放火されていたが、これはウォルトが事件の連鎖を断ち切るために行っていた。ジェイコブス家という一家が惨殺された家が今は空き家だということを知り、ウォルトはそこに向かう。

だがその家こそが今、コートニー、ディラン、ザックの3人が住んでいる家だった。
ウォルトが訪れるとコートニーは突然「夫の仲間なら出ていって!」と感情をむき出しにして追い出そうとしてくる。
ウォルトは単にブグールに縁のある家を処理しようとして来たのだが、コートニーは別居中の夫のクリントが自分と子供らを引き戻すために来たのだと勘違いしていたのだった。スーパーでコートニーがある男を見つけると逃げ出したのも、その男が夫の仲間だとわかっていたからだ。

誤解が解けるとウォルトとコートニーは打ち解けた。
だが空き家だと聞いていたのに人が住んでいたことでウォルトは苦悩することになった。前作フッテージの通り、ブグールが子供を操って起こす一家殺人事件は「殺人事件が起きた家に住んでしまった人間が引っ越すと引っ越し先で発生する」と決まっている。つまりコートニーらが引っ越してしまった場合、コートニーらが皆殺しにされてしまうのだ。

そして、コートニーの息子のディランの元には夜な夜な、5人の子供の霊たちが現れていた。マイロという子供がリーダーだったが、彼らは皆、過去にブグールに操られて殺人事件を起こした後に行方不明になっていた子供たちだ。マイロたちはディランたちの前に現れると自分たちが作った殺人フィルムを嫌がるディランに見せているのだった。

ウォルトはコートニーの家のそばにある教会を調べた。そこは4人が殺された事件現場。暗がりを調べているうちに目の前にブグールが現れてパニックになるウォルト。
そんなウォルトの元にある人物から連絡が入る。それはストムバーグ博士という人物だった。それによれば、前作でエリソン・オズワルトに協力していたジョナス教授が行方不明になり、彼が残したものをウォルトに見せたいのだという。ウォルトは翌日、ストムバーグに会うことを約束した。

コートニー家にクリントがやってくる。州警察を連れてやってきてクリントは強引にコートニーと息子たちを連れ戻そうとするが、そこにウォルトが割って入って「法的根拠がない」と言って追い出した。クリントはコートニーに対して「覚悟しておけ」と脅迫めいた捨て台詞を残して去った。
そしてブグールの事件の法則を知らないコートニーは「ここを出ないと」と言うが、出ていったら死ぬことを知っているウォルトはこれを引き止める。不安がるコートニーはウォルトに「夕食だけでも食べていって」と家に招待した。
コートニーとウォルトは男女として親密になっていく。一方ディランは相変わらず殺人を録画した映像を見せられていたが、ザックもまた幽霊たちの存在を知っていた。ザックはディランより自分が優れていると誇示したいため、幽霊たちに「なぜディランを選ぶ?」と聞いて嫉妬していた。

ウォルトは予定通りストムバーグ博士に会いに行く。
博士の話はこうだった。「1970年代のノルウェーでアマチュア無線が妙な信号を拾った。それには子供用のおもちゃのピアノの音が録音されていた。それはいつしか都市伝説になったが、1990年代後半にテープに録音した者がいた。それは1973年にノルウェーの一家殺害事件が起きた場所を示す座標を示しているものだった。そしてその事件で一家の一人の子供が失踪している。そして一連の殺人は芸術として作り上げられているようだ」という話だった。その話を聞いた直後、テープから「狙いは子供だ。子供にとりつく」という言葉が勝手に流れ出した。ウォルトは博士にテープを壊すように指示し、再びコートニーらの家に向かった。

ディランは4つ目の殺人フィルムを見せられて、もう嫌だと逃げ出すが、マイロは「君は役目を果たした」と言って去ってしまう。そして残り1つのフィルムはディランにではなくザックに見せられていた。マイロは「誰かに言ったら君も家族も殺す」とディランに脅迫してきた。

そしてクリントは再びコートニーに会いに来た。クリントはコネを使って半ば強引に法的手続きを取り、コートニーと二人の息子を連れ戻してしまう。こうしてコートニー一家は「事件があった家から引っ越す」というタブーを犯すことになってしまったのだった。
ウォルトが戻ってきた家はもぬけの空となった後だった。

そしてブグールに魅入られてしまったザックは一家殺害を実行しようとする。ディランは危機を察知してウォルトに連絡を入れた。
ザックはまず平和そうな映像を撮影してから、夜になんらかの手を使ってコートニー、ディラン、クリントの3人を広い農場内で十字架に張りつけにしてしまう。
そして火をつけて最初にクリントを殺害してしまった。
だが、その直後にウォルトが車で割って入ってコートニーとディランを救出。

3人は家に逃げ込むが追ってくるザック。マイロたち5人の悪霊もザックに協力してウォルトたちを殺害しようとするが、ウォルトはザックが持っているカメラを破壊するとマイロは「もう終わり、手遅れだ」とザックに言う。するとザックの背後にブグールが現れる。その手に触れられたザックの顔はみるみる青ざめていき、マイロたちのようにこの世の存在ではなくなってしまった。そして火の手があがり家が燃え出す。ザックを救出しようとするコートニーだが、ウォルトは「もう手遅れだ」と言って家から脱出するように促した。

燃える家を眺めた後、ウォルト、コートニー、ディランの三人は車で去った。
ウォルトは自分の荷物を取りにモーテルに戻ってきたが、そこにあったのは博士のところにあったはずのテープ。そこから子供の声で「副保安官」と聞こえた直後、目の前にブグールが現れる。ここで終わり。

感想・評価

今作の大きな特徴は「双子の兄弟がブグールのしもべとなってしまった子供、つまり過去の惨殺事件の加害者の子供たちの悪霊と交流する」という点。前作でもこれらの子供たちは登場して、主人公エリソンの子供たちと話していたような描写はある(子供たちが過去の事件の絵を描いていた)のだが、前作は主人公エリソンが見ているもの、体験したものだけを描いていたため、直接的な描写はなかった。だが今回はこの双子の目線でマイロたち子供の悪霊との交流が描かれている。

このおかげで、前作と比べると得体の知れなさは薄れているような気はする。霊が普通に喋っちゃうと怖さは薄れちゃうな、ということだ。ただ相も変わらずブグールだけは現れる時ドギャーン!と出てくるので心臓に悪い。

そしてストーリーだが、前作主人公のエリソンを手伝ったかつての副保安官ウォルトを主人公に置いたというのは良いと思う。こういう続編ものはやっぱり、前作の残り香、残滓を思わせる方が面白いものだ。続編なのに前作とは全く関係のない場所で全く関わりのない人物だけが登場する、というよりはこっちの方が好みだ。

そこはいいのだが、肝心の部分は前作を踏襲していないのが残念。どういうことかというと、前作でブグールに下僕とされたはずのエリソンの子供アシュリーは出てこないし、そのアシュリーによって新たに2012年に生み出されたはずのビデオ、「2012お絵描き」と描かれているはずのビデオも登場しないのだ。ディランは夜な夜なマイロたちにビデオを見せられるが、それは「魚釣り」「クリスマスの朝」「キッチンのリフォーム」「教会の礼拝」というものになっている。「お絵描き」はないのだ。というか、考えてみれば前作でエリソンが視聴していたものも全く出てこないな。

ここまで書いて本当にそうだったかな?と見直したのだが、子供の悪霊5人のうちセミロングの少女がアシュリーっぽい。そしてこの少女が「これが最後の一本よ」と言ってディランに見せようとしたのだが、ディランは拒否して、代わりにザックがこれを視聴する、という流れになっている。そしてそのビデオが少々映るのだが、内容は「ドリルやペンチなどを使って拷問して殺す」というものになっている。前作主人公エリソンたちオズワルト一家はアシュリーにバラバラにされたはずなので、やはり今作に出るセミロングの少女もアシュリーとは違うようだ。

ということでやはり今作にオズワルト事件こと「2012お絵描き」はなぜかどういう形ででも出てこないようだ。なんなら上映会をしなくても、そのフィルムの存在だけでも示唆するようにすればそれだけで前作視聴者なら嬉しくなるポイントだと思うんだがなあ。前作の事件に関わっていたウォルトを主人公にしたのに、なぜそういうのをやらなかったのか、甚だ疑問。続編なんだから前作からの繋がりをもう少し感じさせてほしかった。

人物解説

ウォルト

前作でエリソンに協力した副保安官。その時は過去のブグールによる惨殺事件を調べていた。エリソンの話をオカルトだと信じていなかったが、エリソン一家が引っ越し直後に死んでしまったことで今作では最初から悪魔の仕業だと確信している設定。また、前作の後はオズワルト事件の容疑者として疑われていたらしいが、結局起訴されなかったらしい。連鎖を断ち切るため、エリソンらが死んだ「オズワルト事件」があった家を燃やした。今作でもコートニーらが住んでいる家を燃やしにきたのだろうが、人が住んでいるのを知り計画が狂ってしまった。

ブグール

前作でのジョナス教授によるとバビロニアの時代から存在する悪魔。今作のストムバーグ博士によると1973年にはノルウェーでもその力により一家惨殺は起きていたらしい。子供を操って一家惨殺事件を起こし、さらにその子供の魂を食らう。食われた子供はブグールの下僕になってしまう。今回は最終的にザックを操って事件を起こさせた。ザックが失敗したから許さなかった、みたいな表現になっているが、ザックが殺人ビデオの作成に成功してもしなくても、どちらであってもザックはブグールに殺されて下僕にされただろう。

コートニー

以前ブグールによる一家惨殺事件が起きた教会つきの家に住む女性。ディランとザックという双子の兄弟を養っている。それは夫のクリントの暴力から逃れるためだった。家の所有者はコートニーの友人の父親で、クリントから逃れるために使わせてくれているという設定。
ディラン、クリントらと共にザックに焼き殺されるところだったがウォルトに助けられる。

ディラン

コートニーの息子。ザックとは双子。家にいるマイロたち子供の幽霊に夜な夜な殺人フィルム上映会を強制されていやいやながらそれを見る。しかしマイロたちは最後のフィルムだけはザックに見せ、自らの仲間とするのはザックに変更した。コートニー、クリントらと共にザックに焼き殺されるところだったがウォルトに助けられる。

ザック

ディランと双子の兄弟。DV父親のクリントに似てしまったらしく何かとディランをいじめる。マイロたち幽霊がディランを気に入っていることに嫉妬していたが、最終的にはマイロたちが狙いをつけたのはザック。クリントを焼き殺し、逃げ出したウォルト、コートニー、ディランをも殺そうとするが失敗。ブグールの下僕にされてしまった。

マイロ

ディランの前に現れて過去の殺人フィルム上映会を行おうとした。5人の子供の悪霊のうちのリーダー。ディランたちを自分たちの仲間へ引き連れようとして4つのフィルムを見せたが、最後の1つだけはザックに見せて、結局はザックに一家殺害を行わせようとした。

クリント

コートニーの夫でディラン&ザックの父親。しかし酷いDV男。このクリントから逃げるためにコートニーは別居していたわけだが、その家がブグールの事件が起きた家だったというのが本作の事情。強引にコートニーを連れて家に戻らせたが、それがブグールによる殺害事件発生のスイッチに。ウォルトがザックの妨害に入ったが、このクリントだけザックに焼き殺されてしまう。

ジョナス教授

前作ではエリソン・オズワルトに情報提供したオカルト殺人の専門家。今回では登場しないが名前だけ出てきて、オズワルト事件後に行方不明になってしまったことがわかる。失踪前にノルウェーで都市伝説化した無線の録音テープを残しており、それをストムバーグ博士が発見した。行方不明、ということはまず間違いなくブグールに消されてしまったのだろう。

ストムバーグ博士

ウォルトによれば「ジョナス教授の後釜」らしい。ということはジョナス教授の知り合いなのだろうが、その辺りはあまり深く語られない。とにかくこの博士もジョナス教授同様、オカルト系の殺人に詳しい人間なのだろう。ジョナス教授が失踪した後、教授が残したテープなどを発見し、その情報をウォルトに提供した。テープは焼却するようにウォルトが頼んだはずだが、ラストシーンではなぜかウォルトが利用していたモーテルにそれがあった。前作を見れば焼却しても復活して追いかけてくるのは明らかだが、それはともかくこのストムバーグ博士の安否は不明のままに終わる。

項目別評価

映画「フッテージ デス・スパイラル」評価

前作の続編として話としては無難で悪くはない。前作主人公を手伝った副保安官が主人公というのはむしろとても好き。なのに、前作で起こったオズワルト事件の残滓を全く感じられないのが残念。アシュリーとか登場させてもよかったんでは?

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