96時間/レクイエム 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>96時間/レクイエム

執筆日:2015年4月8日

評論

リーアム・ニーソンの代名詞的シリーズ作品、96時間の最新作にして最終作(らしい)。
見たのはおととい。若干うろおぼえ気味になるかもしれない。

まず冒頭は謎の組織がどこかの会社の会計係の男に金庫を開けさせ、さらに殺害するシーンから始まる。この時点ではこの組織が何なのか、男もどこの企業の会計係なのか分からないでシーンは終了する。これは終盤のシーンに繋がることになる。

そして次はブライアン(リーアム・ニーソン)の親バカ全開なシーンが。溺愛している娘キム(マギー・グレイス)(おそらく20歳超え)の誕生日に巨大なパンダのぬいぐるみを持って訪れたのだ。この直前、キムは妊娠検査薬で陽性反応が出ているのだが、この時点で親バカブライアンはどんな反応を示すんだ?とハラハラすることに。結局、このシーンではまだキムはこの事実は明かさないのだが。
キムは彼氏と同棲しており、ブライアンが訪れた際にブライアンに挨拶するのだが、パンダのぬいぐるみを見て「なんだあれ?」とこそっと言ってしまう。ブライアンには聞こえてしまったが、まあブライアンも「流石にこれはなかったわ」と反省、その彼氏へ毒づいたりすることはなく、すごすごとパンダと共に帰る。悲しい。

ブライアンには別れた元妻のレノーア(ファムケ・ヤンセン)としばしば会っていた。レノーアは現夫のスチュアート(ダグレイ・スコット)に対しては不満を持っており、もう完全にブライアンとよりを戻したがっている状態。とはいえブライアンは浮気はできないとモラルを優先、とりあえずは会うだけの状態が続いている感じだ。
ブライアンの自宅を訪れたスチュアートにも「もうレノーアと会うのはやめてくれ」とクギを刺される。

妻とスチュアートについて色々と思うところあるブライアンだが、事件が起きる。
ある日ブライアンが自宅に帰ると、なんとレノーアがベッドの上で惨殺されていたのだ。しかも遺体発見直後に警察が突入してきて、ブライアンは殺人の容疑者となってしまう。何者かにハメられたのだ。
しかし最強親父であるブライアンは警察数人をのして逃亡をはかる。危ないところだったが、隠れ家の抜け道を使って下水へと脱出して追跡をまいた。

容疑者ブライアンはとりあえずキムにレノーアが死んでしまった事実を伝えて、またしばらく警察から逃亡するシーンが続く。
ロス警察の警部であるフランク(フォレスト・ウィテカー)は切れ者でブライアンを惜しいところまでは追い詰めるもののさらにブライアンは上手であるのでどうしても捕まえることはできない。

元CIA工作員であるブライアンには頼れる同僚が3人ほどいる。彼らも凄腕のCIAだ。そして彼らはブライアンが決して殺人などを犯さないことは知っているので、たとえ逃亡の身にあってもブライアンに力を貸してくれる。ブライアンは警察から逃亡しつつ彼らの力を借りる。
なお逃亡中にキムに会いに行った際、キムが妊娠していることを告げられ、ブライアンの知るところとなった。

逃亡しているブライアンをロシア系犯罪組織が襲ってきた。
なんと彼らはレノーアの夫であるスチュアートの指示でブライアンを抹殺しようとしていたということをブライアンは突き止める。
スチュアートに拷問しつつ尋問するとスチュアートはレノーアとブライアンがよりを戻しつつあったことに腹を立て、ブライアンを殺そうとした、という。

ロシア組織のボスはマランコフ(サム・スプルエル)という男。この男を成敗するためにキムや3人の同僚、そして利用できるスチュアートも連れてマランコフがいるペントハウスへと潜入するブライアン。
死闘のすえにマランコフを倒すが、死の間際に彼は「真の黒幕はスチュアートだ。」と告げる。マランコフに借金をしていたスチュアート(これは冒頭のシーンに繋がる)は、マランコフをブライアンに抹殺させるように仕向けたのだ。

スチュアートはブライアンがいない間にキムをさらい、国外脱出を図ろうとする。
だがブライアンはポルシェを駆り爆走、飛び立つ寸前の機にポルシェを超スピードでかすらせて機を破壊、スチュアートをついに追い詰める。
義理の娘であるキムに銃口を向けるスチュアートと対峙。しかしキムが隙を作ったところをブライアンが撃つ。この時点で警察も駆けつけ、スチュアートは「もう俺を殺せない」と勝ち誇る。それに対しブライアンは「お前が刑務所から出てきたらその時は…」と脅しをいれ、一発殴って終了。

エピローグではキムが「子供を産みたい。女の子だったらママと同じ名前にする」とブライアンに告げ、ブライアンは「俺は応援する」と言って物語は終了。

今回も前二作と同じく相変わらず最強の親父であるブライアン。愛する元妻を殺された悲しみを背負いつつもとび抜けた工作員としての能力により悪の組織を追い詰めていくのが見所の映画なのは前作や前々作と変わらない。

でも、今回はロス警部にフォレスト・ウィテカーというベテランをキャスティングしており、その見せ場を作るためか悪の組織と戦う時間よりも警察から逃げるシーンの方が多いような気がした。これが若干冗長というか、「もう逃げるのはともかく、組織をこらしめる方にいったらどうかな?」と少し思ってしまった。それに、これはダイハードラストデイの感想でも書いたけど、個人的な事情で周囲を巻き込みまくるのはあんまり見ていて気分がいいもんじゃない。というのも、ブライアンが警察とのカーチェイス中に高速を逆送するのだが、この際大事故が起きて明らかに人が死ぬレベルの大惨事になってるんだよねえ…。あんたが妻を殺されたのは無念だろうし娘のことも大事だろうが、今あなた人殺してませんか?と言いたくなってしまう。アクション映画において金のかかったクラッシュシーンは華であるのは理解できるのだけれど、それよりはそういうモラルを考えて作ってほしいのだ。モブにも人生があるのだよ。

あとは、実はスチュアートが黒幕だったという点、一度視聴しただけではどうも話の流れを読み取れていない部分もあったのだけれど…。
それはそれとして、アクション映画としての不満ではなく設定に一つ二つ不満を述べる。
真の黒幕だったスチュアートだが、彼はレノーアを本当に愛していて、彼は彼で普通に善人である展開の方が好きだった。彼にレノーアが不満を持っていたという設定がどうもずるいというか。だってブライアンとレノーアは何か問題があるからこそ離婚したのだろう。なのに「今の夫よりやっぱりあなたが好き…」なんて話にしてしまうのはどうなんだろうな。キムがスチュアートに「ママはここ数年幸せそうには見えなかった。それはあなたのせいよね?」なんてスチュアートに言うのだが、その様を見ていない視聴者側としては、「そんな一方的に攻めるのもどうなのかね?」と思ってしまうのだ。だってそういう状況をこっちは見てないもの。分かるのはブライアンとレノーアの間に問題があって離婚したということだ。調べてみたところ、レノーアの心情としては、一作目においては完全に心はスチュアートにあり、二作目ではスチュアートとの関係が壊れはじめ、そして三作目、本作冒頭ではもう完全にスチュアートからブライアンへと心変わりしている、という感じなのだよな。スチュアートは大富豪という設定なのだが、そんな彼の妻となって幸せだ、なんて言っていた一作目と比較すると、なんか彼女も彼女で勝手だよな、という感想が正直なところだったりする。そんな風に思っていたので、スチュアートが当て馬的なものになってしまい、なんだかなあ…だったが、さらには実は黒幕だなんてことになってしまってはなんとも言いようがなかった。なんかブライアン、キム、レノーアの三人の家族愛を強調するために現夫のスチュアートが割食ったんじゃないのかな、と。つまり脚本が都合がいいな、ということだ。
ちなみに、一作目でもスチュアートは登場しているが、キャストが違う。一作目のスチュアートは頭が禿げ上がったおっさんだが、今回は比較的若い。視聴語に知ったが、今回のスチュアート役のダグレイ・スコットというのはミッション・インポッシブル2での黒幕役だったりするようなので、映画に詳しい人ならキャスティングの時点で展開が分かったりするのかも?

まあこの辺はあくまで「本作だけを見た」場合での感想だ。二作目時点でレノーアはスチュアートとの関係が壊れ始めている設定であるので、続けて視聴すればこういう違和感は感じず、いちゃもんは出ないのかもしれない。一応シリーズは全作品見ているし、おかげでリーアム・ニーソンのファンになったくらいなのだけれど、前二作はそれぞれ1回ずつしか見ていないし、ずいぶん前だしね…。
話自体は最強の親バカ親父が悪の組織をやっつける単純なもので、リーアム・ニーソンは相変わらず渋格好いいのでアクション映画好きならオススメできる作品。

余談だが、フォレスト・ウィテカーはこの前ケープタウンでも警部役で見たばかりなもんだったのでまたこの人が警部!?と驚いた。

項目別評価

上記のような不満はありつつも、普通に楽しめた。
最終作と銘打っており、元妻レノーアの死去、娘の妊娠とあってはもう完全にシリーズは終わりなのだろうな。若干寂しいものがある。
しかしまだまだリーアム・ニーソンにはこういう役をやってほしいなあ。

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