スペシャル・フォース 評価 -凡人の感想・ネタバレ-

凡人の感想・ネタバレ映画>スペシャル・フォース

執筆日:2015年3月25日

評論

フランス製作ミリタリー映画。主演はドイツ人女優、ダイアン・クルーガー。彼女はフランス映画への出演が多いとか。
今回、視聴の決め手になったのがこのダイアン・クルーガー出演という点だった。というのも、過去にナショナル・トレジャーで見たときに「美人やなあ…」と感嘆したからだ。視聴後、わざわざ出演している女優を調べたというのは他に例がないので印象に残っていたのだ。

話自体は単純だ。フランス人女性ジャーナリストであるエルサはアフガニスタンに来て取材をしており、タリバン武装組織のリーダーを批判する記事を書いたところ、その組織に目をつけられて拉致されてしまう。
自体を把握したフランス政府は特殊部隊「スペシャルフォース」へ彼女の救出を命じる。エルサの確保自体はあっけなく達成するも、後方に控えた部隊との通信がうまくいかず、自分たちの足で撤退することに。10日ほどにも及ぶ逃走劇の間に1人、また1人とスペシャルフォースのメンバーは力尽きていってしまう。生存者も険しい山岳地帯を進むことによりじわじわと体力が削られていってしまう。
重傷を負って動けなくなった残り2人のスペシャルフォースメンバーに「行け」と促されただ一人道をゆくエルサ。彼女も逃亡から11日目にしてついに力尽き倒れるが、その彼女をフランス軍部隊が発見した。
当然彼女は病院に行く手はずとなるのだが、それを拒否してヘリで別れた二人のスペシャルフォースメンバーを探すことを希望する。その意思を汲み、同行させる司令官。
ついにはヘリからエルサを送り出した2人を見つけ出す。かろうじて2人は生きており、瀕死ながらも満面の笑顔を見せて物語は終了だ。
最後には「この映画をアフガニスタンで犠牲になった兵士と危険を顧みず取材をするジャーナリストに捧げる」というようなメッセージが出てスタッフロールに入る。

予備知識なしで見たが、精鋭部隊が多数のタリバンに終われつつ逃走するというのがローン・サバイバーと丸被りだった。ただあちらと違ってこっちは実話でもなく元にした実話すらなく、完全にフィクションのようだが。

ダイアン・クルーガー演じる無力なエルサという女性が精鋭であるスペシャルフォースに同行するという点、ローン・サバイバーとは違う。このエルサというフランス人ジャーナリストが半端に他国に顔を突っ込んだがゆえに起きた事件で、それにこのエルサが序盤で下手に情に流されたがゆえに拘束されたのもあって、主役である彼女にあまり好感は持てなかった。そういうヘイトが向くように製作側が意図しているのかもしれないが。中盤でスペシャルフォースの一人が仲間が一人殺されたところで「この女のせいで仲間が死んだ!」と言い、エルサが「私が死ねばいいっていうの?」とビンタを食らわしながら怒るのだが、「それで解決するならそれもいいんじゃないかな…」などと若干思ってしまったのは確かである。結局このジャーナリストのせいで4人くらいは死んでしまったしねえ。あとはこのフランス人一行をかくまった現地人にも犠牲者が出てる。

ミリタリー映画なので少数VS多数の戦闘が映画の見所なんだろうけども、それこそ事前にローン・サバイバーを見てしまっていたのが悪かった。どうしても比較してしまう。あちらは足場の悪い岩場を飛び降りつつの決死の逃走劇であり、追っ手を撒けることにも説得力はそれなりにあるのだが、こっちは遮蔽もない原野のような場所でスペシャル・フォースの一人が走って逃げてそれをタリバン兵士が多数で追いかけるというような若干間抜けなシーンがあり、またそのまま一日すぎたような描写があるので、うーん?と疑問符がついた。あんな見晴らしのいいところで銃撃避けつつたった一人で逃げられるわけはないというのは素人考えでも分かるところ。結局最後はやられてしまうんだけども、あの隊員ちょっと粘りすぎだ。

徐々にスペシャル・フォース隊員が傷付いていき、満身創痍で仲間に肩を貸しつつの逃走劇での悲壮感は相当なもので、後半は「全滅するのか?数人は助かるのか?」と目が離せない展開になった。最後はご都合展開によりエルサ含む3人が助かったことになるのだが、まあつまらないと言えばつまらないのだが、無難な落としどころだったと思う。

項目別評価

事実を元にした作品であるローン・サバイバーと内容がかぶるが、戦場の臨場感やリアリティといった点で内容は劣る。だがこっちはこっちで「いつ精鋭たちがやられてしまうのかな?」という緊張感の中で見られた。最後に倒れたエルサのところに丁度軍が通りかかるところなどはご都合すぎるとも思ってしまったり。ただ、それも実話を元にした話だったら当然納得がいくのだろうな。「事実を元にしている」という点は映画の出来の補正として多大な影響があるのだなあ、なんて、似た構成のこの映画を通して思った。

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